小学生野球検診における身体機能テストと肘内側部障害の関連性についての縦断的調査 - 簡易的な下肢機能テストを用いた評価
〔要旨〕(目的) 小学生野球検診における1年間の前向き研究として, 身体機能テストの結果と翌年の肘内側部障害発生との関連を学年別に検証することを目的とした. (方法) 2年連続で検診に参加し, 初年度に肘内側部障害を認めなかった1-5年生の男子295名 (平均年齢9.13±1.05歳) を対象とした. 初年度の検診で, しゃがみ込みテストと片脚立位テストをおこなった. 両テストともに規定の姿勢を保持できた場合, 良群とし, 良群と不良群の2群に分類した. 翌年の検診で, エコー検査と疼痛テストにより肘内側部障害の有無を調べ, 初年度の各テストとの関連性を検証した. (結果) しゃがみ込みテスト...
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Published in | 日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 32; no. 3; pp. 474 - 483 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床スポーツ医学会
31.08.2024
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ISSN | 1346-4159 |
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Summary: | 〔要旨〕(目的) 小学生野球検診における1年間の前向き研究として, 身体機能テストの結果と翌年の肘内側部障害発生との関連を学年別に検証することを目的とした. (方法) 2年連続で検診に参加し, 初年度に肘内側部障害を認めなかった1-5年生の男子295名 (平均年齢9.13±1.05歳) を対象とした. 初年度の検診で, しゃがみ込みテストと片脚立位テストをおこなった. 両テストともに規定の姿勢を保持できた場合, 良群とし, 良群と不良群の2群に分類した. 翌年の検診で, エコー検査と疼痛テストにより肘内側部障害の有無を調べ, 初年度の各テストとの関連性を検証した. (結果) しゃがみ込みテストでの肘内側部障害陽性率は, 2年生で良群 : 0%, 不良群 : 33.3%であり, 3年生で, 良群 : 10%, 不良群 : 38.6%であった. 2-3年生では, しゃがみ込みテストが不良である選手は翌年に肘内側部障害となる人数が有意に多かった. その他項目では, 各学年別に良群と不良群との間に有意な差はみられなかった. (考察) 2-3年生において, しゃがみ込みテストが不良の場合は, 肘内側部障害の発生リスクを予測するスクリーニングの選択肢のひとつとなり得ると考える. しゃがみ込みテストは, 下肢の柔軟性を簡易的に評価でき, 専門的な技術を要さないため, フィールド関係者にこの評価方法を啓蒙し, フィールドで活用することが有用であると考える. |
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ISSN: | 1346-4159 |