ホスファチジルエタノールアミンの機能とドコサヘキサエン酸に対する役割

「1. はじめに」ホスファチジルエタノールアミン (phosphatidylethanolamine, PE) は, 動植物界に広く分布するリン脂質の主要構成成分であり, 最初, 脳から単離されたので, ギリシア語の脳を意味するケファレーにちなんで, ケファリンCephalinsとも呼ばれる別称がついた. PEはグリセロール骨格に2つの脂肪酸がエステル結合しているグリセロリン脂質のうち頭部のアルコールとしてエタノールアミンがリン酸エステル結合 (1,2-diacyl-sn-glycerol-3-phosphoethanolamine) しており, コリンが結合したホスファチジルコリン (PC)...

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Published in脂質栄養学 Vol. 32; no. 2; pp. 112 - 124
Main Author 日比野英彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脂質栄養学会 20.08.2023
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ISSN1343-4594

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Summary:「1. はじめに」ホスファチジルエタノールアミン (phosphatidylethanolamine, PE) は, 動植物界に広く分布するリン脂質の主要構成成分であり, 最初, 脳から単離されたので, ギリシア語の脳を意味するケファレーにちなんで, ケファリンCephalinsとも呼ばれる別称がついた. PEはグリセロール骨格に2つの脂肪酸がエステル結合しているグリセロリン脂質のうち頭部のアルコールとしてエタノールアミンがリン酸エステル結合 (1,2-diacyl-sn-glycerol-3-phosphoethanolamine) しており, コリンが結合したホスファチジルコリン (PC) に次いで多く存在する生体膜成分である. 本稿では, 最初にPEの構造と種類及び存在の特徴, 生合成, ホスホリパーゼによる代謝, 哺乳類における役割の概論を述べる. 次いで, PEの特徴である不飽和脂肪酸に対する抗酸化作用とそれに関連したドコサヘキサエン酸 (DHA) のPEへの取り込みの意味を考察する.
ISSN:1343-4594