柔道の絞技による意識消失と覚醒後の自覚症状に関する研究 ; 中学柔道選手へのアンケート調査

〔要旨〕 (目的) 少年柔道において, 絞技による意識消失の実態を把握し, 意識消失後の対応や競技復帰プロセスについて検討することが本研究の目的である. (方法) 全国中学生柔道大会参加選手を対象に, 絞技による意識消失の経験や覚醒後の症状, その持続時間などに関してアンケート調査を実施した. (結果) 回答があった726名(回収率95%)のうち, 301名(41%)が絞技による意識消失を経験していた. 意識消失経験者のうち42名(14%)が覚醒後の自覚症状を有していた. 自覚症状の内訳は, ふらつき17名(40%), 手足のしびれ16名(38%), めまい15名(36%)などが多く, 他に嘔...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 29; no. 3; pp. 365 - 371
Main Authors 井汲彰, 永廣信治, 柵山尚紀, 宮崎誠司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床スポーツ医学会 31.08.2021
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Summary:〔要旨〕 (目的) 少年柔道において, 絞技による意識消失の実態を把握し, 意識消失後の対応や競技復帰プロセスについて検討することが本研究の目的である. (方法) 全国中学生柔道大会参加選手を対象に, 絞技による意識消失の経験や覚醒後の症状, その持続時間などに関してアンケート調査を実施した. (結果) 回答があった726名(回収率95%)のうち, 301名(41%)が絞技による意識消失を経験していた. 意識消失経験者のうち42名(14%)が覚醒後の自覚症状を有していた. 自覚症状の内訳は, ふらつき17名(40%), 手足のしびれ16名(38%), めまい15名(36%)などが多く, 他に嘔気・嘔吐, 頭痛, 脱力, 健忘, 集中力低下などもみられた. 自覚症状は36名(86%)が5分以内, 39名(93%)が1時間以内に消失したが, 24時間以上持続したと回答した事例も存在した. (結論) 絞技で意識消失すると覚醒後に多彩な症状が出現する. 症状が消失するまでの時間は通常短時間であるものの, 頻度は少ないが一定時間持続する場合もある. 意識消失から覚醒直後の練習や試合への復帰は慎重にすべきである.
ISSN:1346-4159