鳥取県西部と島根県東部におけるマダニ相調査 (2013~2014年)
「はじめに」 マダニ科(以下, マダニ類)は, 全種が寄生吸血性で, 吸血の際に様々な感染症を媒介する場合があるため, 衛生動物として重要な一群である. 宿主特異性はマダニ種によって異なり, 野生動物(哺乳類, 鳥類, 爬虫類)だけでなく, 人, 愛玩動物, 家畜などからも吸血する. 鳥取県と島根県は, 山陰地方に位置し, 日本海側気候の特徴を持つが, 他の日本海側地域と比べて気温が高いという特徴がある. 鳥取県と島根県では, マダニ媒介感染症である重症熱性血小板減少症候群(SFTS)や日本紅斑熱の患者が各地で発生しており(岡ら, 1990; 白井ら, 2010; 加藤ら, 2016; 山谷ら...
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Published in | Medical Entomology and Zoology Vol. 75; no. 4; pp. 217 - 221 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本衛生動物学会
25.12.2024
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ISSN | 0424-7086 |
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Summary: | 「はじめに」 マダニ科(以下, マダニ類)は, 全種が寄生吸血性で, 吸血の際に様々な感染症を媒介する場合があるため, 衛生動物として重要な一群である. 宿主特異性はマダニ種によって異なり, 野生動物(哺乳類, 鳥類, 爬虫類)だけでなく, 人, 愛玩動物, 家畜などからも吸血する. 鳥取県と島根県は, 山陰地方に位置し, 日本海側気候の特徴を持つが, 他の日本海側地域と比べて気温が高いという特徴がある. 鳥取県と島根県では, マダニ媒介感染症である重症熱性血小板減少症候群(SFTS)や日本紅斑熱の患者が各地で発生しており(岡ら, 1990; 白井ら, 2010; 加藤ら, 2016; 山谷ら, 2023), マダニ相調査の重要性が高い地域であるといえる. 山陰地方において, 鳥取県西部と島根県東部は, それらの間に高い山地などはなく, 松江や米子といった比較的人口の多い都市を含む連続した地域である. したがって, 鳥取県西部と島根県東部のマダニ相を把握しておくことは, この地域におけるマダニ媒介感染症対策の上で重要である. |
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ISSN: | 0424-7086 |