臨床看護師による学会発表演題名の傾向分析 - テキストマイニングの手法を用いて
「要旨」 【目的】 本研究の目的は, 臨床施設と大学が連携した看護研究支援システム構築への第一歩として, 臨床看護師がどのようなテーマに関心を持ち看護研究を行っているかを明らかにすることである. 【研究方法】 日本看護系学会協議会の会員学会名簿より, 特定の大学や病院が運営しているため入会制限のある学会を除き, 学会会員数が1,000名以上である20学会が, 2012年に発行した学術集会抄録集を分析の対象とした. 対象より臨床看護師が筆頭研究者である発表演題を抽出し, KH Coderを用いて発表演題名のテキストマイニング分析を行った. 【結果】 対象4,289演題のうち臨床看護師が筆頭研究者...
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Published in | 兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所紀要 Vol. 21; pp. 75 - 86 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所
01.03.2014
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ISSN | 1881-6592 |
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Summary: | 「要旨」 【目的】 本研究の目的は, 臨床施設と大学が連携した看護研究支援システム構築への第一歩として, 臨床看護師がどのようなテーマに関心を持ち看護研究を行っているかを明らかにすることである. 【研究方法】 日本看護系学会協議会の会員学会名簿より, 特定の大学や病院が運営しているため入会制限のある学会を除き, 学会会員数が1,000名以上である20学会が, 2012年に発行した学術集会抄録集を分析の対象とした. 対象より臨床看護師が筆頭研究者である発表演題を抽出し, KH Coderを用いて発表演題名のテキストマイニング分析を行った. 【結果】 対象4,289演題のうち臨床看護師が筆頭研究者である発表演題は, 1,947件(45.4%)であり, その内の68.5%が研究者が臨床看護師のみの発表演題であった. テキストマイニングを用いた分析より, 頻出語上位は, 『患者』, 『看護師』, 『看護』であった. さらに, 『患者』の共起語として<受ける><家族><検討><化学療法><支援>, 『看護師』の共起語として<要因><新人><影響><手術室><認識>, 『看護』の共起語として<患者><家族><終末期><がん患者><外来>が抽出された. 研究者が臨床看護師のみの発表演題と, 大学教員が含まれる発表演題とで頻出語を比較すると, 前者では『検討』『取り組み』『効果』などの言葉が, 後者では『要因』『支援』『影響』などの言葉が上位を占めた. 【考察】 臨床看護師は, 数多くの看護研究を行い学会で発表していたが, 先行研究によれば論文に至るものは少ない. 臨床看護師は, 患者家族, 化学療法患者, 新人看護師, 手術室看護師, がん看護, 終末期看護, 外来看護に関するテーマで数多くの看護研究を行っていることが推測された. その内容は, 日々の看護援助の取り組みの報告や直面している課題に対してであることが推察された. 今後, 臨床看護研究に大学が携わることでEvidenceの構築と看護の質の向上へと繋がる可能性が示唆された. |
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ISSN: | 1881-6592 |