児童青年期の摂食障害の急性期入院治療の実際 - 低体重を来す最重症例への対応に注目して
病的やせを来す摂食障害は, 神経性やせ症ANや回避制限性食物摂取障害ARFIDに代表される. これらの重症例に対して行われる入院治療について, 国内のガイドラインでは患者の重症度・状態像に応じて, プライマリケア・一般内科病棟・行動制限を用いた入院治療・精神科入院と場面別の治療実践が紹介されている. 海外の代表的なガイドラインとして, NICE (National Institute for Health and Care Excellence)およびそれから参照されるMARISPAN (Management of Really Sick Patients)の小児版について, 13の評価軸によ...
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Published in | 児童青年精神医学とその近接領域 Vol. 62; no. 5; pp. 644 - 654 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本児童青年精神医学会
01.11.2021
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Summary: | 病的やせを来す摂食障害は, 神経性やせ症ANや回避制限性食物摂取障害ARFIDに代表される. これらの重症例に対して行われる入院治療について, 国内のガイドラインでは患者の重症度・状態像に応じて, プライマリケア・一般内科病棟・行動制限を用いた入院治療・精神科入院と場面別の治療実践が紹介されている. 海外の代表的なガイドラインとして, NICE (National Institute for Health and Care Excellence)およびそれから参照されるMARISPAN (Management of Really Sick Patients)の小児版について, 13の評価軸による患者のリスク評定, 小児科病棟における入院治療, 最重症例に対する専門治療の概要を示した. また, 我が国における最重症例入院治療の実践として, 名古屋大学医学部附属病院精神科・親と子どもの心療科の枠組みを提示した. 我が国では, 欧米のガイドラインが求めるような高度な治療内容や治療資源を得られる機会は限られている. 重症化する前に患者の早期発見・早期治療を行っていくと共に, 現状の中で重症例の治療実践を重ねつつ, より十分な治療体制を整備する準備を進めていくことが必要である. |
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ISSN: | 0289-0968 |