我が国の新体操競技者における脳振盪の実態調査 - 第70回全日本学生新体操選手権大会 (2018年度)
〔要旨〕近年各種スポーツにおいて, 競技中に生じた頭部外傷に対する理解が進み, 安全に競技を行うためにルールの改定などが行われている. しかし, 日本の新体操競技における頭部外傷の実態は, 未だ明らかではない. 本研究では, 我が国における新体操競技者の頭部外傷の現状を明らかにする目的で, 2018年に行われた第70回全日本学生新体操選手権大会に出場した男女を対象に, 過去に経験した脳振盪に関するアンケート調査を行った. 出場予定者203名のうち有効回答は100件(49.3%:男子40名, 女子60名)であった. うち66名(66.0%:男子31名, 女子35名)にスポーツ傷害の既往を認め,...
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Published in | 日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 29; no. 2; pp. 220 - 227 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床スポーツ医学会
30.04.2021
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ISSN | 1346-4159 |
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Summary: | 〔要旨〕近年各種スポーツにおいて, 競技中に生じた頭部外傷に対する理解が進み, 安全に競技を行うためにルールの改定などが行われている. しかし, 日本の新体操競技における頭部外傷の実態は, 未だ明らかではない. 本研究では, 我が国における新体操競技者の頭部外傷の現状を明らかにする目的で, 2018年に行われた第70回全日本学生新体操選手権大会に出場した男女を対象に, 過去に経験した脳振盪に関するアンケート調査を行った. 出場予定者203名のうち有効回答は100件(49.3%:男子40名, 女子60名)であった. うち66名(66.0%:男子31名, 女子35名)にスポーツ傷害の既往を認め, 脳振盪の既往は, 14名(14.0%:男子12名, 女子2名)に認められた. 本研究では, 脳振盪経験者の割合は, 男子30.0%, 女子3.3%であった. 男子の受傷機転は, 宙返りの着地失敗によるものが7件, 組技失敗によるものが3件, 交差技によるものが2件であり, 記述なしが1件であった. 女子の受傷機転は, ジャンプシェネで滑り頭部をフロアに強打し受傷したものが1件, 記述なしが1件であった. これらの結果から, 新体操競技においても頭部外傷が発生することが明らかとなった. 他競技と同様に脳振盪後の対応方法, 重大事故予防のための環境づくりなど, 指導者と選手への教育が必要であると考えられた. |
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ISSN: | 1346-4159 |