過去5年間における当院回復期リハビリテーション病棟入院患者の3食経口摂取移行と経皮内視鏡的胃瘻造設術 (PEG) 実施状況の推移

「要旨」【目的】2012年に厚労省の事業として, 「高齢者の摂食嚥下障害に対する人工的な水分・栄養補給方法の導入をめぐる意思決定プロセスの整備とガイドライン」(以下, ガイドライン)が発表された. 2014年度には, 経管栄養から経口摂取へ移行すべく, よりいっそうリハビリテーション(以下, リハ)の促進を求める一連の改定がなされた. 当院における過去5年間の3食経口摂取移行件数(以下, 経口摂取移行件数)と経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下, PEG)件数の推移を調査し, ガイドラインや診療報酬改定が回復期リハ病棟のアウトカムにいかなる影響を与えたかを検討した. 【方法】2010年から2014年に...

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Published in日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 20; no. 1; pp. 31 - 35
Main Authors 佐藤新介, 岡本隆嗣, 渡邉光子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食嚥下リハビリテーション学会 30.04.2016
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ISSN1343-8441

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Summary:「要旨」【目的】2012年に厚労省の事業として, 「高齢者の摂食嚥下障害に対する人工的な水分・栄養補給方法の導入をめぐる意思決定プロセスの整備とガイドライン」(以下, ガイドライン)が発表された. 2014年度には, 経管栄養から経口摂取へ移行すべく, よりいっそうリハビリテーション(以下, リハ)の促進を求める一連の改定がなされた. 当院における過去5年間の3食経口摂取移行件数(以下, 経口摂取移行件数)と経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下, PEG)件数の推移を調査し, ガイドラインや診療報酬改定が回復期リハ病棟のアウトカムにいかなる影響を与えたかを検討した. 【方法】2010年から2014年にわたり, 当院回復期リハ病棟入院時に3食経管栄養を行っていた患者(36~45人/年)のカルテを後方視的に調査した. 【結果】経口摂取移行件数は, 2010年の8人(19%)から2014年の17人(38%)まで一貫して漸増傾向にあった. 2010, 2011年と2012~2014年の2群比較では, 経口摂取移行件数が有意に増加し, 逆にPEG数は34人(79%)から19人(42%)へと有意に減少していた. 【考察】経口摂取移行件数が上昇した理由の一つに, 5年間で入院中FIM利得が5点程度上昇したことが考えられた. PEG件数は2010年以降, 一貫して減少傾向にあり, 2014年度診療報酬改定の影響とは考えにくい. ガイドライン公表後, 新聞や著書でPEGの倫理的問題がしばしば取り上げられ始めたことが, 影響した可能性が考えられる.
ISSN:1343-8441