肺結核治療中初期悪化による結核性横隔膜下膿瘍の1例

「要旨」: 症例は40歳女性. 咳嗽, 喀痰を主訴に近医を受診. 胸部CT検査で細気管支炎を疑われ, 精査および加療目的で当院を紹介され受診した. 血液検査ではT-SPOT(R). TB陽性, 胃液検査では結核菌PCRおよび抗酸菌培養陽性を認めた. 肺結核と診断し抗結核薬4剤による治療を開始した. 治療開始2カ月後に胸部CT検査で左胸水貯留, 治療開始時に認めなかった横隔膜下膿瘍を認め入院. 胸水検査では抗酸菌を含めた培養および結核菌PCRは陰性であったが, リンパ球数増加とADA高値を認めた. 横隔膜下膿瘍に対しては経皮的超音波検査下生検を施行した. 病理組織学的検査では乾酪壊死を伴う類上皮...

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Published in結核 Vol. 92; no. 1; pp. 35 - 39
Main Authors 山田真紗美, 山川英晃, 吉田正宏, 石川威夫, 高木正道, 桑野和善
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核病学会 01.01.2017
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Summary:「要旨」: 症例は40歳女性. 咳嗽, 喀痰を主訴に近医を受診. 胸部CT検査で細気管支炎を疑われ, 精査および加療目的で当院を紹介され受診した. 血液検査ではT-SPOT(R). TB陽性, 胃液検査では結核菌PCRおよび抗酸菌培養陽性を認めた. 肺結核と診断し抗結核薬4剤による治療を開始した. 治療開始2カ月後に胸部CT検査で左胸水貯留, 治療開始時に認めなかった横隔膜下膿瘍を認め入院. 胸水検査では抗酸菌を含めた培養および結核菌PCRは陰性であったが, リンパ球数増加とADA高値を認めた. 横隔膜下膿瘍に対しては経皮的超音波検査下生検を施行した. 病理組織学的検査では乾酪壊死を伴う類上皮肉芽腫とラングハンス巨細胞を認め, 穿刺針の洗浄液から結核菌PCR陽性を認めたため結核性横隔膜下膿瘍と診断した. 抗結核薬治療を継続することにより胸水量減少および横隔膜下膿瘍の縮小を認めたため同病態を肺結核治療中初期悪化と診断した. 結核治療中の初期悪化像は多彩であり肺, 胸膜およびリンパ節病変だけでなく本症例のように横隔膜下膿瘍発生は貴重と考えられるため報告した.
ISSN:0022-9776