多発性大動脈瘤に対する手術方針

多発性大動脈瘤症例を対象とし, その形態, 部位, 手術時期, 合併症等につき検討した. 当科で経験した多発性大動脈瘤14例を対象とした. 男性10例, 女性4例で平均年齢は66歳であった. その内訳は弓部-胸腹部1例, 弓部-腎動脈下6例, 胸部下行-腎動脈上1例, 胸部下行-腎動脈下5例, 胸腹部-腎動脈下1例であった. 瘤径は胸部63±13mm, 腹部54±13mmであった. 一期的手術を施行したのは胸腹部-腎動脈下の1例のみであった. 二期的手術を施行したのは8例で, 弓部-腎動脈下5例, 胸部下行-腎動脈下2例, 弓部-胸腹部1例であった. これらのうち弓部優先3例, 腹部優先5例で...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 26; no. 5; pp. 322 - 326
Main Authors 大楽, 耕司, 齋藤, 聰, 山下, 晃正, 土生川, 光成, 森景, 則保, 吉村, 耕一, 久我, 貴之, 藤岡, 顕太郎, 加藤, 智栄, 藤村, 嘉彦, 善甫, 宣哉, 江里, 健輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.09.1997
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Summary:多発性大動脈瘤症例を対象とし, その形態, 部位, 手術時期, 合併症等につき検討した. 当科で経験した多発性大動脈瘤14例を対象とした. 男性10例, 女性4例で平均年齢は66歳であった. その内訳は弓部-胸腹部1例, 弓部-腎動脈下6例, 胸部下行-腎動脈上1例, 胸部下行-腎動脈下5例, 胸腹部-腎動脈下1例であった. 瘤径は胸部63±13mm, 腹部54±13mmであった. 一期的手術を施行したのは胸腹部-腎動脈下の1例のみであった. 二期的手術を施行したのは8例で, 弓部-腎動脈下5例, 胸部下行-腎動脈下2例, 弓部-胸腹部1例であった. これらのうち弓部優先3例, 腹部優先5例であった. 術後合併症は脊髄麻痺1例, 腸管壊死1例, 腎障害2例, 呼吸障害2例, 肝障害1例であった. 手術死亡なく遠隔期に3例の死亡を認めた. 多発性大動脈瘤の手術には, 瘤径の大きいほうを優先し二期的に手術を行うほうが望ましい.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.26.322