長期生存をえたCA19-9産生進行直腸癌の1例
症例は50歳の女性. 下部直腸癌の診断で紹介された. CT検査にて大動脈周囲リンパ節転移が疑われた. 腫瘍マーカーは血清carcinoembryonic antigenは3.9ng/mlと軽度の上昇に対しcarbohydrateantigen 19-9 (以下, CA19-9と略記) は2,020U/mlと極めて高値であった. 平成元年2月17日手術施行. 大動脈周囲リンパ節は累々と腫大し, 同部の郭清を伴う腹会陰式直腸切断術を施行. 病理組織学的検索にて大動脈周囲リンパ節はすべて転移陽性であった. 術後の検索にて核DNA ploidy patternはaneuploidであった. 術後5-f...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 28; no. 9; pp. 1962 - 1966 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.09.1995
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.28.1962 |
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Summary: | 症例は50歳の女性. 下部直腸癌の診断で紹介された. CT検査にて大動脈周囲リンパ節転移が疑われた. 腫瘍マーカーは血清carcinoembryonic antigenは3.9ng/mlと軽度の上昇に対しcarbohydrateantigen 19-9 (以下, CA19-9と略記) は2,020U/mlと極めて高値であった. 平成元年2月17日手術施行. 大動脈周囲リンパ節は累々と腫大し, 同部の郭清を伴う腹会陰式直腸切断術を施行. 病理組織学的検索にて大動脈周囲リンパ節はすべて転移陽性であった. 術後の検索にて核DNA ploidy patternはaneuploidであった. 術後5-fluorouracilの経静脈的持続投与を30日間施行後, 近医にてtegafurを中心にadjuvant therapyを施行中である. 腫瘍マーカーは正常化した. 術後6年1か月の現在, 再発徴候なく健在である. CA19-9が極めて高値で大動脈周囲リンパ節転移が著明, かつDNA ploidyがaneuploidでありながら, 長期生存中の直腸癌切除例はまれと考えられ, 報告した. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.28.1962 |