腎細胞癌術後10年目に閉塞性黄疸をきたした膵頭部転移の1例

患者は61歳女性で, 1990年に右腎細胞癌の診断で,根治的右腎摘出術を受けた.病理は腎細胞癌, alveolar type, clear cell subtype, Grade1,副腎転移(-),リンパ節転移(-), stage IIであった. 2000年10月,全身掻痒感のために近医を受診し,黄疸を指摘された.腹部CT検査で,膵頭部に不整な腫瘤を認めた. ERCPでは下部胆管の不整狭少像を認めた.腹部血管造影で,動脈相で膵頭部に腫瘤濃染像を認めた.以上の所見より腎細胞癌膵転移を疑ったが,他臓器には転移を認めなかったため, 2000年11月に膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織では,腫瘍は...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 63; no. 3; pp. 701 - 705
Main Authors 山田, 敬之, 森下, 靖雄, 六本木, 隆, 前村, 道生, 竹吉, 泉, 常沢, 伸幸, 藤井, 孝尚, 大和田, 進
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.03.2002
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.63.701

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Summary:患者は61歳女性で, 1990年に右腎細胞癌の診断で,根治的右腎摘出術を受けた.病理は腎細胞癌, alveolar type, clear cell subtype, Grade1,副腎転移(-),リンパ節転移(-), stage IIであった. 2000年10月,全身掻痒感のために近医を受診し,黄疸を指摘された.腹部CT検査で,膵頭部に不整な腫瘤を認めた. ERCPでは下部胆管の不整狭少像を認めた.腹部血管造影で,動脈相で膵頭部に腫瘤濃染像を認めた.以上の所見より腎細胞癌膵転移を疑ったが,他臓器には転移を認めなかったため, 2000年11月に膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織では,腫瘍は線維性の偽被膜に包まれ,淡明な胞体を有する腫瘍細胞が腺腔を形成していた.リンパ節転移は認めなかった.腎細胞癌, clear cell typeの膵頭部転移と診断された.術後12カ月健存している.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.63.701