乳腺悪性葉状腫瘍の1例

症例は40歳,女性. 10年前に左乳房に腫瘤を自覚するも放置していたが, 1年ほど前より腫瘤が急速に増大し,皮膚潰瘍も形成したため当科を受診した.左乳房に直径15cm大の多結節性の腫瘍を認め,皮膚は伸展されC領域に直径3cm大の潰瘍を形成していた.入院後,皮膚潰瘍から動脈性の出血を認めたため,単純左乳房切除術(Bt)を施行した.組織学的には悪性葉状腫瘍の診断であった.葉状腫瘍は比較的稀な疾患で,乳癌と異なり,肺や骨などへの血行性転移がほとんどでリンパ節転移は稀である.治療は正常乳腺を含めた局所切除で十分であり,リンパ節郭清は不要とする意見が多い.局所再発や遠隔転移の可能性もあるので慎重な経過観...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 4; pp. 819 - 822
Main Authors 高木, 知敬, 長渕, 英介, 久慈, 麻里子
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.04.2003
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.64.819

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Summary:症例は40歳,女性. 10年前に左乳房に腫瘤を自覚するも放置していたが, 1年ほど前より腫瘤が急速に増大し,皮膚潰瘍も形成したため当科を受診した.左乳房に直径15cm大の多結節性の腫瘍を認め,皮膚は伸展されC領域に直径3cm大の潰瘍を形成していた.入院後,皮膚潰瘍から動脈性の出血を認めたため,単純左乳房切除術(Bt)を施行した.組織学的には悪性葉状腫瘍の診断であった.葉状腫瘍は比較的稀な疾患で,乳癌と異なり,肺や骨などへの血行性転移がほとんどでリンパ節転移は稀である.治療は正常乳腺を含めた局所切除で十分であり,リンパ節郭清は不要とする意見が多い.局所再発や遠隔転移の可能性もあるので慎重な経過観察が必要であるが,遠隔転移に対する治療法は現在のところ確立されていない.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.64.819