抗IFN-γ自己抗体による播種性非結核性抗酸菌症

HIV陰性の健常成人に, 播種性非結核性抗酸菌(NTM)症やサルモネラ症, 真菌症など複数の日和見感染を生じる症候群の新たな病態が近年, 注目されている. 抗IFN-γ自己抗体がマクロファージ活性化に必要なIFN-γシグナル伝達を阻害し, メンデル遺伝型マイコバクテリア易感染症(MSMD)に類似した病態を呈する. これらの疾患群は疫学的に東南アジア・日本・台湾を中心に報告数が増加しており, 中年期以降に好発する. 診断には抗IFN-γ自己抗体の検出が重要であり, 治療は長期の抗菌薬投与が基本となる. 近年, とくに海外において, リツキシマブなどを用いた抗体産生抑制の併用により, 予後の改善が...

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Published in炎症と免疫 Vol. 33; no. 3; pp. 223 - 227
Main Author 南宮湖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 先端医学社 20.04.2025
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ISSN0918-8371

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Summary:HIV陰性の健常成人に, 播種性非結核性抗酸菌(NTM)症やサルモネラ症, 真菌症など複数の日和見感染を生じる症候群の新たな病態が近年, 注目されている. 抗IFN-γ自己抗体がマクロファージ活性化に必要なIFN-γシグナル伝達を阻害し, メンデル遺伝型マイコバクテリア易感染症(MSMD)に類似した病態を呈する. これらの疾患群は疫学的に東南アジア・日本・台湾を中心に報告数が増加しており, 中年期以降に好発する. 診断には抗IFN-γ自己抗体の検出が重要であり, 治療は長期の抗菌薬投与が基本となる. 近年, とくに海外において, リツキシマブなどを用いた抗体産生抑制の併用により, 予後の改善が図られている. 抗IFN-y自己抗体による病態は, いぜんとして不明な点が多く, とくに疾患の長期経過, 合併症, 予後などについての理解は十分ではない. そのため, レジストリの構築による病態の詳細な解明が望まれる.
ISSN:0918-8371