骨モデリングにおいて骨小腔から骨細胞を解放した際の破骨細胞のリアクションについて

【目的】骨吸収中に骨小腔から解放された骨細胞を破骨細胞が貪食するかどうかについて明確な証拠は未だない. 本研究は, 解放された骨細胞のその後の運命も含めて, 破骨細胞の骨吸収活性が高いと考えられる骨モデリングにおいて, 骨細胞を骨小腔から解放した際の破骨細胞のリアクションを解明することを目的として行った. 【方法】生後2日齢仔ネコ大腿骨骨幹部の連続準超薄切片および超薄切片を作製し, 光学顕微鏡及び透過型電子顕微鏡を用いて骨内膜付近の骨細胞と破骨細胞を観察した. 連続準超薄切片の一部では破骨細胞の三次元立体再構築を行い, またエポンに再包埋後再薄切し, 透過型電子顕微鏡を用いて細胞超微細構造を再...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 429
Main Authors 鈴木礼子, 土門卓文, 脇田稔, 明坂年隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.09.2002
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:【目的】骨吸収中に骨小腔から解放された骨細胞を破骨細胞が貪食するかどうかについて明確な証拠は未だない. 本研究は, 解放された骨細胞のその後の運命も含めて, 破骨細胞の骨吸収活性が高いと考えられる骨モデリングにおいて, 骨細胞を骨小腔から解放した際の破骨細胞のリアクションを解明することを目的として行った. 【方法】生後2日齢仔ネコ大腿骨骨幹部の連続準超薄切片および超薄切片を作製し, 光学顕微鏡及び透過型電子顕微鏡を用いて骨内膜付近の骨細胞と破骨細胞を観察した. 連続準超薄切片の一部では破骨細胞の三次元立体再構築を行い, またエポンに再包埋後再薄切し, 透過型電子顕微鏡を用いて細胞超微細構造を再観察した. 【結果】破骨細胞によって骨小腔から解放されつつある骨細胞, 破骨細胞移動後の骨吸収面上にむき出しにされた骨細胞あるいは空の骨小腔が多数観察された. 単核の細胞が, 三次元的に破骨細胞の細胞体内部に取り込まれている像も幾つか観察された. これら骨細胞および単核細胞にはアポトーシス及びネクローシスの特徴が見られなかった. 【結論】骨モデリングにおいて破骨細胞は大きなダメージを与えることなく骨細胞を骨小腔から解放するが, 全ての骨細胞を貪食せずに掘り出すのではなく, 幾つかの骨細胞は貪食することが示唆された.
ISSN:0385-0137