人間ドックにおける認知症早期スクリーニング検査の試み-かなひろいテストとCT計測値の有効性の検討

「要約」目的:近年は認知症の早期治療の有効性が指摘され, 的確な早期診断の重要性が高まっている. アルツハイマー型認知症の初期には前頭前野機能が低下してくることから「かなひろいテスト」が注目され, またCTを用いた計測法も早期発見に有用であることが近年報告されている. 今回, 当施設の人間ドックにおけるオプション検査としてかなひろいテストとCT計測法によって認知症を早期にスクリーニングする試みを行った. 方法:2010年4月からの1年間に当会で「認知症早期スクリーニング検査」を受けた107名(男性69名, 女性38名)を対象とした. 練習問題で解答の方法を説明した後にかなひろいテストを実施した...

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Published in人間ドック Vol. 27; no. 3; pp. 591 - 596
Main Authors 吉本貴宜, 場集田寿, 土屋洋人, 煎本正博, 寒河江順子, 宮川一成, 高谷典秀, 高谷純司, 高谷雅史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本人間ドック学会 30.09.2012
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Summary:「要約」目的:近年は認知症の早期治療の有効性が指摘され, 的確な早期診断の重要性が高まっている. アルツハイマー型認知症の初期には前頭前野機能が低下してくることから「かなひろいテスト」が注目され, またCTを用いた計測法も早期発見に有用であることが近年報告されている. 今回, 当施設の人間ドックにおけるオプション検査としてかなひろいテストとCT計測法によって認知症を早期にスクリーニングする試みを行った. 方法:2010年4月からの1年間に当会で「認知症早期スクリーニング検査」を受けた107名(男性69名, 女性38名)を対象とした. 練習問題で解答の方法を説明した後にかなひろいテストを実施した. 併せて放射線科専門医がCT検査で脳萎縮の程度を判定するとともに, CT計測値とかなひろいテストの相関性について検証した. 結果:かなひろいテストで境界値以下だった受診者は70歳の男性1名で, CT検査で側頭葉の萎縮を指摘された受診者と一致した. かなひろいテストのスコアとCT計測値の間には高い相関性が認められた. 結論:人間ドック受診者は健康体が多く, 認知症と診断されている人は少ないが, 今回かなひろいテストで境界値以下だった受診者はCTでも有意な脳萎縮を伴っており, 人間ドックにおける認知症早期スクリーニング検査としてかなひろいテストの有効性が確認できた. またその精度を高める相補的な手段としてCT計測法の可能性が示唆された.
ISSN:1880-1021