要介護状態にある薬害HIV感染患者を在宅介護する家族の療養場所移行における経験とおもい
「要旨」 【目的】 要介護状態にある薬害HIV感染患者を在宅で介護する家族の療養場所移行における経験とおもいを明らかにする. 【方法】 在宅で要介護状態にある薬害HIV感染患者を介護する家族を対象とし半構造化面接を実施した. 聞き取り内容は, 現在の生活に至るまでの療養場所の移行の状況や介護状況, その過程における経験やおもいなどである. 得られた録音データは逐語録にし, 療養場所移行における経験やおもいについて抽出した. 【結果】 要介護状態にある薬害HIV感染患者の家族2ケースから協力が得られた. 療養場所移行における経験やおもいを構成するカテゴリーには【血友病・HIV感染症であるが故の困...
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Published in | 兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所紀要 Vol. 22; pp. 81 - 93 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所
01.03.2015
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ISSN | 1881-6592 |
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Summary: | 「要旨」 【目的】 要介護状態にある薬害HIV感染患者を在宅で介護する家族の療養場所移行における経験とおもいを明らかにする. 【方法】 在宅で要介護状態にある薬害HIV感染患者を介護する家族を対象とし半構造化面接を実施した. 聞き取り内容は, 現在の生活に至るまでの療養場所の移行の状況や介護状況, その過程における経験やおもいなどである. 得られた録音データは逐語録にし, 療養場所移行における経験やおもいについて抽出した. 【結果】 要介護状態にある薬害HIV感染患者の家族2ケースから協力が得られた. 療養場所移行における経験やおもいを構成するカテゴリーには【血友病・HIV感染症であるが故の困難と対処】【在宅介護移行前の経験とおもい】【介護を続けていくことの難しさ】【要介護者・家族への感謝の気持ち】【介護負担軽減のための対処】の5つのカテゴリーが抽出された. 要介護状態にある薬害HIV感染患者を在宅で介護する家族は, 血友病やHIV感染症という疾患特有の困難に直面しそれに対処していたことが明らかとなった. HIV感染という事実に加え, 家族が身体障害者となり長期介護を要するという現実に直面する家族の苦悩やストレスは計り知れないため, 介護を行う家族への支援を行う者は, 家族の思いを十分に受け止め, 負担を軽減し, 生活の再編ができるように, 共に環境を調整していく支援が必要である. 【結論】 HIV感染症があるが故に転院先や入院先といった施設を探すのに難渋していたが, 在宅介護サービス提供者に対してHIV感染症の専門家による介入が行われることで, 家族は在宅に療養場所を移行することができていた. 在宅介護の継続にあたっては看護師をはじめとする在宅介護サービス提供者や副介護者の存在が重要であり, 要介護状態にある薬害HIV感染患者だけのケアのみでなく介護者に生じる経験やおもいを考慮したアプローチの必要性が示された. |
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ISSN: | 1881-6592 |