破裂性腹部大動脈瘤手術経験の検討

1993年4月から1999年12月まで過去7年間に当科で経験した破裂性腹部大動脈瘤緊急手術症例44例を対象とし,手術成績を検討した.病院死亡は8例であり,18.2%と比較的良好な成績であった.麻酔導入時ショックに対する対応策として,消毒およびドレーピングなどの執刀準備を行ったうえで,麻酔導入挿管と同時に執刀を開始した.すべて,腹部正中切開にて行った.術前および術中因子において生存群および死亡群に分けて統計的解析を行ったところ,術前因子としては,術前意識消失の有無(p=0.018),術前心停止の有無(p=0.015),術前ショックの持続時間(h)(p=0.031),麻酔導入時収縮期血圧60mmH...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 31; no. 4; pp. 258 - 261
Main Authors 山田, 知行, 山里, 有男, 鷹羽, 浄顕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.07.2002
特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会
The Japanese Society for Cardiouascular Surgery
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.31.258

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Summary:1993年4月から1999年12月まで過去7年間に当科で経験した破裂性腹部大動脈瘤緊急手術症例44例を対象とし,手術成績を検討した.病院死亡は8例であり,18.2%と比較的良好な成績であった.麻酔導入時ショックに対する対応策として,消毒およびドレーピングなどの執刀準備を行ったうえで,麻酔導入挿管と同時に執刀を開始した.すべて,腹部正中切開にて行った.術前および術中因子において生存群および死亡群に分けて統計的解析を行ったところ,術前因子としては,術前意識消失の有無(p=0.018),術前心停止の有無(p=0.015),術前ショックの持続時間(h)(p=0.031),麻酔導入時収縮期血圧60mmHg以下(p=0.019),また,術中因子としては,腹腔内破裂(p=0.010),術中輸血量(p=0.043)において統計的有意差を認めた.今回の検討で救命率81.8%と良好な結果が得られたのも,迅速な診断と手術室搬入,手術開始にさいし,執刀準備を行ったうえで,麻酔導入挿管と同時に執刀を開始することにより導入時低血圧回避が可能であったためと考えられ,最も習熟した手段で副損傷なく,手早く大動脈遮断を行い出血を制御することが,重要であると考えられる.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.31.258