免疫正常の成人に発症したMycobacterium aviumによる頸部リンパ節炎の1例

「要旨:」Mycobacterium avium complexによるリンパ節炎は小児では比較的頻度が高いが, 成人ではHIV感染症などの免疫不全者以外では非常にまれである. 症例は67歳女性, 無症状の左オトガイ下腫瘤で紹介され受診した. CTにて径17mmの左オトガイ下リンパ節腫脹を認めたが, 他のリンパ節腫脹や肺病変は認めなかった. 高血圧症以外には基礎疾患はなく, 検索した範囲で免疫異常を認めなかった. 診断目的で切除術を行った. 組織学的検査にて壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫を認め, 組織の抗酸菌塗抹検査は (±)であった. 結核性リンパ節炎が疑われたが結核菌およびM.avium, M....

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Published in結核 Vol. 87; no. 10; pp. 659 - 662
Main Authors 池上達義, 古田健二郎, 中治仁志, 森田恭平, 杉田孝和, 西山秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核病学会 15.10.2012
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Summary:「要旨:」Mycobacterium avium complexによるリンパ節炎は小児では比較的頻度が高いが, 成人ではHIV感染症などの免疫不全者以外では非常にまれである. 症例は67歳女性, 無症状の左オトガイ下腫瘤で紹介され受診した. CTにて径17mmの左オトガイ下リンパ節腫脹を認めたが, 他のリンパ節腫脹や肺病変は認めなかった. 高血圧症以外には基礎疾患はなく, 検索した範囲で免疫異常を認めなかった. 診断目的で切除術を行った. 組織学的検査にて壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫を認め, 組織の抗酸菌塗抹検査は (±)であった. 結核性リンパ節炎が疑われたが結核菌およびM.avium, M.intracellulareに対するpolymerase chain reaction, インターフェロンγアッセイは陰性であった. 組織培養にて8週後に抗酸菌が培養されDNA-DNA hybridization法にてM.aviumと同定された. 病巣は完全切除されていたこと, 術後化学療法を行うべきかどうか明らかではないことから化学療法は行わなかったが, 術後8カ月経過して再発を認めていない.
ISSN:0022-9776