結核診断に必要な喀痰塗抹検査回数
「要旨」:〔目的〕結核の診断に集菌塗抹の蛍光染色による3連続喀痰検査が必要か検討した. 〔対象〕2005年4月1日から2012年12月31日の間に肺結核にて入院し, 抗結核薬治療を受けた394人のうち, 喀痰培養検査が陽性であり検体の選択基準を満たした379人を対象とした. 〔方法〕3連続喀痰検査における1回目喀痰塗抹陽性率と, 2回目・3回目の累積喀痰塗抹陽性率を後ろ向きに調査した. 検体の性状をMiller and Jones分類を用いて評価し, 1回目の喀痰を粘性痰と膿性痰に分けて検討した. また喀痰採取方法や空洞病変の有無で塗抹陽性率の差を検討した. 〔結果〕対象の379人中, 300...
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Published in | 結核 Vol. 92; no. 1; pp. 1 - 3 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本結核病学会
01.01.2017
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0022-9776 |
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Summary: | 「要旨」:〔目的〕結核の診断に集菌塗抹の蛍光染色による3連続喀痰検査が必要か検討した. 〔対象〕2005年4月1日から2012年12月31日の間に肺結核にて入院し, 抗結核薬治療を受けた394人のうち, 喀痰培養検査が陽性であり検体の選択基準を満たした379人を対象とした. 〔方法〕3連続喀痰検査における1回目喀痰塗抹陽性率と, 2回目・3回目の累積喀痰塗抹陽性率を後ろ向きに調査した. 検体の性状をMiller and Jones分類を用いて評価し, 1回目の喀痰を粘性痰と膿性痰に分けて検討した. また喀痰採取方法や空洞病変の有無で塗抹陽性率の差を検討した. 〔結果〕対象の379人中, 300人が1回目の喀痰塗抹検査で陽性であった (陽性率79.2%). 粘性痰と膿性痰において1回目の塗抹陽性率に差があった (72.3%対91.2%). 一方, 喀痰採取法や空洞病変の有無は1回目の塗抹陽性率に影響しなかった. 〔考察〕粘性痰では2回目は有意に塗抹陽性率が上がったが3回目は有意ではなく, 膿性痰では1回目で高い塗抹陽性率が得られ, 膿性痰を採取することが重要であると考えた. |
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ISSN: | 0022-9776 |