膝前十字靱帯損傷に対する保存療法例におけるsilent periodを用いた健側および患側の神経・筋協調性の比較
〔要旨〕膝前十字靱帯(ACL)断裂後の競技復帰の際には, 神経・筋機能の改善は重要である. 筋放電休止期(silent period:SP)は, 上位中枢での統合機能を反映し, フィードフォワード機能や神経・筋協調性の評価の指標とされている. 本研究では, このSPを用いてACL損傷後に保存加療された症例の神経・筋協調性を健側と患側間で比較した. 保存療法後にスポーツ復帰した7例を対象とし, 受傷後平均7か月で, 光刺激に反応するジャンプ動作を行わせ, その際の筋電図から大腿直筋と大腿二頭筋のSPおよびPre-motion time(PMT)を測定し, 健側と患側間で比較した. その結果, P...
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Published in | 日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 32; no. 2; pp. 273 - 277 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床スポーツ医学会
30.04.2024
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ISSN | 1346-4159 |
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Summary: | 〔要旨〕膝前十字靱帯(ACL)断裂後の競技復帰の際には, 神経・筋機能の改善は重要である. 筋放電休止期(silent period:SP)は, 上位中枢での統合機能を反映し, フィードフォワード機能や神経・筋協調性の評価の指標とされている. 本研究では, このSPを用いてACL損傷後に保存加療された症例の神経・筋協調性を健側と患側間で比較した. 保存療法後にスポーツ復帰した7例を対象とし, 受傷後平均7か月で, 光刺激に反応するジャンプ動作を行わせ, その際の筋電図から大腿直筋と大腿二頭筋のSPおよびPre-motion time(PMT)を測定し, 健側と患側間で比較した. その結果, Pre-motion SP(PMSP)の平均値は, 健側73±26ms, 患側90±23ms, また, Switching SP(SSP)の平均値はそれぞれ33±17ms, 42±15msであり, PMSP, SSPともに平均値では患側が遅延していたが, 有意差はなかった. また, PMTは, 健側260±61ms, 患側265±42msであり, 有意差はなかった. 今回の検討から, ACL損傷後保存療法後7か月程度では, 神経・筋協調性は患・健側間で差を認めない可能性があることが示唆された. |
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ISSN: | 1346-4159 |