基礎疾患のない若年者に発症し肺結核と鑑別を要したActinomyces odontolyticusによる肺化膿症の1例

「要旨」 : 症例は既往のない24歳男性. 1週間持続する咳嗽を主訴に近医を受診し, 胸部画像検査で右肺上葉に空洞を伴う多発結節影・浸潤影を認めたため当院へ紹介受診となった. 当初, 肺結核を疑い喀痰検査を行うも抗酸菌塗抹・結核菌PCRは陰性で, また気管支洗浄液の一般細菌抗酸菌塗抹培養でも菌の検出には至らなかった. 2回目の気管支鏡検査では気管支肺胞洗浄を行い, 得られた検体で前回未実施だった嫌気培養を行った結果, 放線菌属が検出され, 肺放線菌症と診断した. 後日, 得られた菌は放線菌属の中のActinomyces odontolyticusと同定された. SBT/ABPCを14日間投与し...

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Published in結核 Vol. 94; no. 2; pp. 39 - 44
Main Authors 兵頭健太郎, 金澤潤, 松村聡介, 嶋田貴文, 北岡有香, 後藤瞳, 笹谷悠惟果, 中嶋真之, 齋藤武文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核病学会 15.02.2019
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ISSN0022-9776

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Summary:「要旨」 : 症例は既往のない24歳男性. 1週間持続する咳嗽を主訴に近医を受診し, 胸部画像検査で右肺上葉に空洞を伴う多発結節影・浸潤影を認めたため当院へ紹介受診となった. 当初, 肺結核を疑い喀痰検査を行うも抗酸菌塗抹・結核菌PCRは陰性で, また気管支洗浄液の一般細菌抗酸菌塗抹培養でも菌の検出には至らなかった. 2回目の気管支鏡検査では気管支肺胞洗浄を行い, 得られた検体で前回未実施だった嫌気培養を行った結果, 放線菌属が検出され, 肺放線菌症と診断した. 後日, 得られた菌は放線菌属の中のActinomyces odontolyticusと同定された. SBT/ABPCを14日間投与し, 陰影の改善がみられ, その後はAMPC内服へ変更し, 加療を継続した. 肺放線菌症は基礎疾患のない者にも発症することが知られている. 本例では気管支肺胞洗浄液の嫌気培養を行ったことで診断に至ることができた, 稀なA. odontolyticusの症例を報告した.
ISSN:0022-9776