結石へのアプローチ(軟性尿管鏡)

「要旨」f-TULが普及した背景には軟性腎盂尿管鏡だけでなく周辺デバイスの進歩によるところも大きい. 結石へのアプローチではガイドワイヤー, 尿管アクセスシース, 灌流機材が用いられアクセスシースの寄与は特に大きい. しかしそれを安全適切に設置するには先行してガイドワイヤーを挿入する過程があり嵌頓の強い尿管結石や屈曲尿管の通過には経験と技術を必要とする. これを補助するためにガイドワイヤーも進化しているが, 良好な視野を維持するために少しの血尿も来さない努力が必要であり腎盂内に先端を入れすぎないなど細やかな配慮も要する. アクセスシースの挿入は製品の性能により極めてスムースになったが安全な挿入...

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Published inJapanese Journal of Endourology Vol. 24; no. 2; pp. 241 - 247
Main Author 志賀直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本泌尿器内視鏡学会 01.09.2011
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ISSN2186-1889

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Summary:「要旨」f-TULが普及した背景には軟性腎盂尿管鏡だけでなく周辺デバイスの進歩によるところも大きい. 結石へのアプローチではガイドワイヤー, 尿管アクセスシース, 灌流機材が用いられアクセスシースの寄与は特に大きい. しかしそれを安全適切に設置するには先行してガイドワイヤーを挿入する過程があり嵌頓の強い尿管結石や屈曲尿管の通過には経験と技術を必要とする. これを補助するためにガイドワイヤーも進化しているが, 良好な視野を維持するために少しの血尿も来さない努力が必要であり腎盂内に先端を入れすぎないなど細やかな配慮も要する. アクセスシースの挿入は製品の性能により極めてスムースになったが安全な挿入は術者の配慮によることは言うまでもない. 選ぶべき適切なサイズは合理的理由で基準がある. 廃用性や生理的狭窄で通過困難な時にはステント留置後再手術に臨むとほとんど問題なく可能となることを知れば無理なシース挿入はしないで済む. 内視鏡挿入時にはシースを牽引して内腔を得る基本的操作からさらにスムースな手技では挿入, 結石摘出時のシース応用テクニックもある. 術者が多くのことをこなす手技過程で灌流機材までも進歩し助手のストレスも軽減した. このようにデバイスが進歩しても合併症は起きうる. 最善の合併症治療は予防であることは言うまでもない. 粘膜損傷や尿管穿孔は適切な対応により重大な結果に至る事はない. 断裂だけは引き起こさないよう最善の注意を払わなければならない. デバイスの特性と適切な使用を熟知しf-TULの利点が最大に生かされ普及することを切に望む.
ISSN:2186-1889