心因性振戦と考えられた37歳男性例

要旨: 症例は37歳男性. 主訴は右手の震え. 2ヶ月前より右上肢の震えがあり, 前医脳神経内科を受診した. 本態性振戦の疑いでバルプロ酸が投与され, 一過性に震えの改善が見られたが, 再度増悪した. クロナゼパム, プロプラノロール, フェノバルビタールの内服は無効であった. 安静時に6~10Hz程度の律動的な振戦様不随意運動が認められたが, 会話・計算等で注意をそらすと振幅や振動数が変動した. 各検査所見では異常なく, 不随意運動のdistractionや心因的ストレスの病歴から, 機能性不随意運動と診断した. レボメプロマジンを内服後, 不随意運動は軽度改善した. 機能性不随意運動に対し...

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Published in運動障害 Vol. 28; no. 2; pp. 65 - 69
Main Authors 奥根祥, 石井亜紀子, 廣木昌彦, 玉岡晃
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本運動障害研究会 15.12.2018
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ISSN0917-5601

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Summary:要旨: 症例は37歳男性. 主訴は右手の震え. 2ヶ月前より右上肢の震えがあり, 前医脳神経内科を受診した. 本態性振戦の疑いでバルプロ酸が投与され, 一過性に震えの改善が見られたが, 再度増悪した. クロナゼパム, プロプラノロール, フェノバルビタールの内服は無効であった. 安静時に6~10Hz程度の律動的な振戦様不随意運動が認められたが, 会話・計算等で注意をそらすと振幅や振動数が変動した. 各検査所見では異常なく, 不随意運動のdistractionや心因的ストレスの病歴から, 機能性不随意運動と診断した. レボメプロマジンを内服後, 不随意運動は軽度改善した. 機能性不随意運動に対して, 脳神経内科医は不随意運動と心理的側面を適切に評価し, 必要に応じて精神科と連携することで, よりスムーズかつ継続的な診療を行うことができると考えた.
ISSN:0917-5601