両側性結核性胸膜炎治療中に胸腹部結核腫をきたした1例
「要旨」 : 抗結核化学療法後に発症する初期悪化は免疫再構築反応と理解され, 結核腫への進展はそのひとつの病態と考えられている. 結核の既往や家族歴がない元来健康な37歳の女性が持続する発熱と乾性咳嗽のため来院した. 胸部X線で両側胸水のために入院となった. 喀痰や胸水からは結核菌は証明されなかったが, 両側胸水はリンパ球優位の滲出液で, アデノシンデアミナーゼが高値 (左右それぞれ77.5 IU/L と73.2 IU/L) であり, 血中結核菌特異蛋白刺激性遊離インターフェロン-γ測定陽性であった. 両側性結核性胸膜炎が疑われ, ピラジナミドを含むリファンピシン, イソニアジドおよびエタンブ...
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Published in | 結核 Vol. 93; no. 11/12; pp. 615 - 620 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本結核病学会
15.11.2018
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Summary: | 「要旨」 : 抗結核化学療法後に発症する初期悪化は免疫再構築反応と理解され, 結核腫への進展はそのひとつの病態と考えられている. 結核の既往や家族歴がない元来健康な37歳の女性が持続する発熱と乾性咳嗽のため来院した. 胸部X線で両側胸水のために入院となった. 喀痰や胸水からは結核菌は証明されなかったが, 両側胸水はリンパ球優位の滲出液で, アデノシンデアミナーゼが高値 (左右それぞれ77.5 IU/L と73.2 IU/L) であり, 血中結核菌特異蛋白刺激性遊離インターフェロン-γ測定陽性であった. 両側性結核性胸膜炎が疑われ, ピラジナミドを含むリファンピシン, イソニアジドおよびエタンブトールの4剤併用抗結核化学療法導入後に一旦退院した. 導入1カ月後に症状の悪化と共に胸部CTで新たに右胸腹膜側の異常を認め, 再入院となった. 遺伝子増幅法によって結核菌群DNAが右腹膜腫穿刺液から検出されたことで右胸腹膜結核腫と診断した. 治療強化から1年4カ月後に右胸腹膜結核腫は消失した. 両側性結核性胸膜炎に対して抗結核化学療法導入1カ月後に右胸膜結核腫から右腹膜結核腫へ進展し, 初期悪化と病像進展との鑑別に苦慮した1例を報告する. |
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ISSN: | 0022-9776 |