栃木県足利赤十字病院における3年間 (2020-2022年) のマダニ刺症49例の検討 - タカサゴキララマダニ刺症40例の傾向

「緒言」南方系のマダニであるタカサゴキララマダニAmblyomma testudinarium Kochを優占種とするヒトでのマダニ刺症が, 北関東に位置する栃木県足利市でも2017年から2019年に発生していることを報告した (島田ら, 2020). 現在のところ, 足利赤十字病院を受診したマダニ刺症例からは, タカサゴキララマダニが保有する紅斑熱群リケッチア (Imaoka et al., 2011) や重症熱性血小板減少症候群ウイルス (SFTSV) (森川ら, 2014) による感染症例は認められていない. 一方, 栃木県内では, 日本紅斑熱の患者発生が1例あり (国立感染症研究所,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inMedical Entomology and Zoology Vol. 74; no. 2; pp. 53 - 56
Main Authors 島田瑞穂, 土井寛大, 川端寛樹, 山内健生, 安藤秀二, 小林由美江, 廣瀬芳江, 周藤史憲, 藤原由佳子, 齊藤美穂, 菊池広子, 小松本悟, 室久俊光, 島野智之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生動物学会 25.06.2023
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:「緒言」南方系のマダニであるタカサゴキララマダニAmblyomma testudinarium Kochを優占種とするヒトでのマダニ刺症が, 北関東に位置する栃木県足利市でも2017年から2019年に発生していることを報告した (島田ら, 2020). 現在のところ, 足利赤十字病院を受診したマダニ刺症例からは, タカサゴキララマダニが保有する紅斑熱群リケッチア (Imaoka et al., 2011) や重症熱性血小板減少症候群ウイルス (SFTSV) (森川ら, 2014) による感染症例は認められていない. 一方, 栃木県内では, 日本紅斑熱の患者発生が1例あり (国立感染症研究所, 厚生労働省健康局結核感染症課, 2017), 害獣駆除に関わる複数の猟師においてSFTSV抗体陽性が報告されている (竹田ら, 2016). 足利市内でタカサゴキララマダニを優占種とするマダニ刺症が発生する背景を明らかにするために2021年に市内で行った野生動物 (ニホンイノシシSus scrofa Linnaeus (以下イノシシ), ニホンジカCervus nippon Temminck (以下シカ)) に付着するマダニの調査において, 両動物には一年を通して複数種類のマダニの付着及び吸血が認められており, これら2宿主のうち, イノシシがタカサゴキララマダニを付着させたまま, 冬季も含めヒトの居住している住宅の敷地内へ侵入していることがわかった (Shimada et al., 2022).
ISSN:0424-7086