化学療法誘発性末梢神経障害を体験する患者の症状マネジメントの方略

【目的】本研究の目的は, 化学療法誘発性末梢神経障害(Chemotherapy-induced peripheral neuropathy:以下, CIPN)を体験する患者が行っている症状マネジメントの方略の詳細を明らかにすることである. 【方法】CIPNを体験する外来化学療法に通院中のがん患者を対象に, Dodd et al.(2001)の修正版症状マネジメントモデルを概念枠組みに作成したインタビューガイドを用いて, 半構造化面接を行った. 症状マネジメントの方略は, 症状に対してどのように取り組んでいるか, 対処や工夫の詳細を聞き取った. 得られたデータは, Vaughn et al.(1...

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Published in兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所紀要 Vol. 27; pp. 25 - 38
Main Authors 中野宏恵, 竹田元美, 松岡和美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所 01.03.2020
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ISSN1881-6592

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Summary:【目的】本研究の目的は, 化学療法誘発性末梢神経障害(Chemotherapy-induced peripheral neuropathy:以下, CIPN)を体験する患者が行っている症状マネジメントの方略の詳細を明らかにすることである. 【方法】CIPNを体験する外来化学療法に通院中のがん患者を対象に, Dodd et al.(2001)の修正版症状マネジメントモデルを概念枠組みに作成したインタビューガイドを用いて, 半構造化面接を行った. 症状マネジメントの方略は, 症状に対してどのように取り組んでいるか, 対処や工夫の詳細を聞き取った. 得られたデータは, Vaughn et al.(1996)による質的データ分析手法を参考に, 症状マネジメントの方略と体験を抽出して単位データを作成し, 意味内容の類似性に従い抽象化し, カテゴリー化した. 【結果】研究協力者は19名で, Grade 1が7名, Grade 2が8名, Grade 3が4名であった. 痺れ, 痛み, 感覚鈍麻・過敏, 脱力感などを知覚しており, 【日常生活場面の困難】【身体のコントロールが不安定】【二次的な身体損傷が生じる】【負の感情が生じる】【社会生活に支障が生じる】の5カテゴリーに集約される体験をしていた. それに対し, 研究協力者が行っている症状マネジメントの方略は【症状を和らげるための方略】【症状の増強因子の回避】【生活を円滑にする工夫】【他者からの支援の活用】【二次傷害の回避】【体力や筋力の維持・増進】の6カテゴリーであった. 研究協力者は, 医療者からの情報をアレンジしたり, 自分の症状に合うように探し出し, 独自に考え出した方略を実践していた. 【結論】研究協力者が行っている方略は, 具体的な場面のイメージ化を可能にし, 二次傷害を防ぐ可能性がある. 患者と医療者が協働し, 患者が行っている方略を活用しつつ, 医療者による適切なストレスマネジメントの支援や, 個々の患者に適した方略を見出す必要性が示唆された.
ISSN:1881-6592