横行結腸瘻を形成し下血を繰り返した膵仮性嚢胞の1例

症例は51歳, 男性, 大酒家。粘血便を主訴に当院を受診し, 貧血のため緊急入院となった。腹部CTにて膵尾部に嚢胞性腫瘤を認め, 内容は血液およびairと推測された。ERCPでは主膵管の不整拡張と膵尾部の嚢胞 (径5cm大) を認めた。注腸造影検査では横行結腸脾弯曲付近の狭窄と同部位での膵嚢胞との交通を認めた。以上より膵仮性嚢胞の横行結腸瘻形成に伴う消化管出血と診断し, 手術を施行した。横行結腸に瘻孔を形成した膵仮性嚢胞が確認されたので, 膵体尾部・脾合併切除術および横行結腸部分切除術を施行した。術後経過は良好であった。膵仮性嚢胞で横行結腸へ瘻孔形成した本邦報告例は, 自験例を含めて6例のみで...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 24; no. 6; pp. 1063 - 1066
Main Authors 古田, 雄一, 友澤, 滋, 中村, 光郎, 篠崎, 幸子, 石川, 功, 内藤, 浩, 五十嵐, 裕章, 東海林, 久紀, 斎藤, 加奈, 愛甲, 丞, 前出, 幸子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.09.2004
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem1993.24.1063

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Summary:症例は51歳, 男性, 大酒家。粘血便を主訴に当院を受診し, 貧血のため緊急入院となった。腹部CTにて膵尾部に嚢胞性腫瘤を認め, 内容は血液およびairと推測された。ERCPでは主膵管の不整拡張と膵尾部の嚢胞 (径5cm大) を認めた。注腸造影検査では横行結腸脾弯曲付近の狭窄と同部位での膵嚢胞との交通を認めた。以上より膵仮性嚢胞の横行結腸瘻形成に伴う消化管出血と診断し, 手術を施行した。横行結腸に瘻孔を形成した膵仮性嚢胞が確認されたので, 膵体尾部・脾合併切除術および横行結腸部分切除術を施行した。術後経過は良好であった。膵仮性嚢胞で横行結腸へ瘻孔形成した本邦報告例は, 自験例を含めて6例のみであり, 極めてまれな症例と考えられ, 若干の文献的考察を加えて報告した。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem1993.24.1063