弓部人工血管置換術後9年目に下半身虚血のため急性腸管壊死をきたした症例
症例は60歳男性. 9年前に弓部大動脈瘤にて人工血管置換術を施行されている. 両下肢の運動および知覚障害を訴え入院した. 両側大腿動脈以下の動脈拍動を触知せず, また入院直後より急性汎発性腹膜炎を発症した. 造影CTと動脈造影にて, 弓部人工血管の近位側吻合部仮性動脈瘤によるグラフト圧迫から下半身の重症虚血をきたしたものと診断し, 緊急手術を施行した. 開腹にて下腸間膜動脈 (以下IMA) 領域の急性腸管壊死を認め, Hartmann の手術を施行した. その後右腋窩-両側大腿動脈バイパス術を施行し下半身への血流改善を図った. 術後はDICと myonephropathic metabolic...
Saved in:
Published in | 日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 26; no. 6; pp. 384 - 387 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
15.11.1997
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0285-1474 1883-4108 |
DOI | 10.4326/jjcvs.26.384 |
Cover
Loading…
Summary: | 症例は60歳男性. 9年前に弓部大動脈瘤にて人工血管置換術を施行されている. 両下肢の運動および知覚障害を訴え入院した. 両側大腿動脈以下の動脈拍動を触知せず, また入院直後より急性汎発性腹膜炎を発症した. 造影CTと動脈造影にて, 弓部人工血管の近位側吻合部仮性動脈瘤によるグラフト圧迫から下半身の重症虚血をきたしたものと診断し, 緊急手術を施行した. 開腹にて下腸間膜動脈 (以下IMA) 領域の急性腸管壊死を認め, Hartmann の手術を施行した. その後右腋窩-両側大腿動脈バイパス術を施行し下半身への血流改善を図った. 術後はDICと myonephropathic metabolic syndrome (以下MNMS) による腎不全をきたしたが, 救命しえたので報告する. |
---|---|
ISSN: | 0285-1474 1883-4108 |
DOI: | 10.4326/jjcvs.26.384 |