胃癌の腹膜再発予防に対するOK-432腫瘍内投与の意義

Stage III胃癌治癒切除例49例中15例に, 術前OK-432腫瘍内投与を行った. 5年生存率はOK-432非投与群の36.5%に比べ, 投与群では73.3%と有意に良好であった (p<0.05). 術後再発率は投与群27%, 非投与群56%であり, 投与群に明らかな腹膜再発が認められなかったのに対し, 非投与群では58% (11/19) が腹膜再発で死亡した. 次に腹膜再発動物モデルを作成しOK-432による腹膜再発予防効果を検討した結果, OK-432腫瘍内投与の場合には腫瘍縮小効果が認められたのみであったが, 腹腔内投与と腫瘍内投与を併用した場合には著しい抗腫瘍効果と生存率の...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 22; no. 4; pp. 1010 - 1013
Main Authors 馬場, 秀夫, 是永, 大輔, 大野, 真司, 斎藤, 純, 渡辺, 昭博, 岡村, 健, 杉町, 圭蔵, 辻谷, 俊一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.04.1989
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Summary:Stage III胃癌治癒切除例49例中15例に, 術前OK-432腫瘍内投与を行った. 5年生存率はOK-432非投与群の36.5%に比べ, 投与群では73.3%と有意に良好であった (p<0.05). 術後再発率は投与群27%, 非投与群56%であり, 投与群に明らかな腹膜再発が認められなかったのに対し, 非投与群では58% (11/19) が腹膜再発で死亡した. 次に腹膜再発動物モデルを作成しOK-432による腹膜再発予防効果を検討した結果, OK-432腫瘍内投与の場合には腫瘍縮小効果が認められたのみであったが, 腹腔内投与と腫瘍内投与を併用した場合には著しい抗腫瘍効果と生存率の延長が得られた. 以上よりOK-432腫瘍内投与はStage III胃癌の予後を改善し, さらに今後腹腔内投与の併用により, 腹膜再発予防効果が高まる可能性が示唆された.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.22.1010