大学スカッシュ部におけるスポーツ傷害の実態調査

〔要旨〕 スカッシュ競技は世界では2000万人ほどの競技人口がいるとされているが, 我が国では馴染みのない比較的新しい競技の一つである. 今回我々は, スカッシュ競技中に生じたスポーツ傷害の実態を明らかにする目的で, 男女のスカッシュの選手を対象に, 過去に生じた外傷や障害についてアンケート調査を行い, 予防対策について検討を行った. 対象は, 福岡大学スカッシュラケット部に所属したことのある競技者を対象とした. 競技者126人中51名(40.4%)より回答が得られた. 内訳は, 男性28名, 女性23名であった. スポーツ傷害の発生は, 全体の45.0%に認められ, 男性に多かった. 受傷部...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 29; no. 3; pp. 407 - 412
Main Authors 重森裕, 大坪俊矢, 舘原宗幸, 福嶋洋, 寺田光輝, 西田智, 黒崎辰馬
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床スポーツ医学会 31.08.2021
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ISSN1346-4159

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Summary:〔要旨〕 スカッシュ競技は世界では2000万人ほどの競技人口がいるとされているが, 我が国では馴染みのない比較的新しい競技の一つである. 今回我々は, スカッシュ競技中に生じたスポーツ傷害の実態を明らかにする目的で, 男女のスカッシュの選手を対象に, 過去に生じた外傷や障害についてアンケート調査を行い, 予防対策について検討を行った. 対象は, 福岡大学スカッシュラケット部に所属したことのある競技者を対象とした. 競技者126人中51名(40.4%)より回答が得られた. 内訳は, 男性28名, 女性23名であった. スポーツ傷害の発生は, 全体の45.0%に認められ, 男性に多かった. 受傷部位は, 男女ともに下肢に多く, とくに足関節が多かった. しかし女性は, 眼窩部の受傷が22.2%に認められた. 練習中の相手との衝突や接触, ラケットと身体の接触が受傷機転となっていた. 受傷時期は, 男女ともに練習中に競技を始めて1年以内に多く, 傷害発生は, 競技歴に反比例した. スカッシュ競技練習時の競技環境の整備によって, 競技中のスポーツ傷害を減少させる可能性がある. また女性には, 安全対策として全世代でのアイガードの装着を推奨する必要があると考えられた.
ISSN:1346-4159