本邦におけるスポーツ傷害 (外傷・障害・関連疾患) 調査の方法論に関するシステマティックレビュー

〔要旨〕本研究では過去に本邦において実施されたスポーツ傷害(外傷・障害・スポーツ関連疾患)調査及び疫学研究をレビューし, それらの方法論を評価することを目的とした. 解析対象は2010年から2020年までに発表された47件のスポーツ傷害調査とした. 調査項目(報告あり vs. 報告なし)を頻度や割合などの単純集計で評価し, さらに情報の記録者による報告項目の違いをカイ二乗検定で検証した. 情報記録者の医学的知識の有無に関わらず, 同様の調査項目が報告されていたことが明らかになった. 選手自身が記録した診断名や受傷組織などの詳細度の高い傷害情報の信頼性には留意する必要があると考えられる. また,...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 30; no. 3; pp. 781 - 796
Main Authors 山中美和子, 吉村茜, 細川由梨, 砂川憲彦, 広瀬統一, 金岡恒治, 川原貴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床スポーツ医学会 31.08.2022
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ISSN1346-4159

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Summary:〔要旨〕本研究では過去に本邦において実施されたスポーツ傷害(外傷・障害・スポーツ関連疾患)調査及び疫学研究をレビューし, それらの方法論を評価することを目的とした. 解析対象は2010年から2020年までに発表された47件のスポーツ傷害調査とした. 調査項目(報告あり vs. 報告なし)を頻度や割合などの単純集計で評価し, さらに情報の記録者による報告項目の違いをカイ二乗検定で検証した. 情報記録者の医学的知識の有無に関わらず, 同様の調査項目が報告されていたことが明らかになった. 選手自身が記録した診断名や受傷組織などの詳細度の高い傷害情報の信頼性には留意する必要があると考えられる. また, 傷害の定義を定めない調査が約19.1%を占めたことや, 分類の定義や基準に一貫性がない調査項目が複数あったことを踏まえ, 統一された方法論による疫学調査の必要性が示唆された.
ISSN:1346-4159