修正早期警戒スコア (MEWS) による患者急変予知は, 迅速対応システム (RRS) の起動件数を適正にし, かつ院内心停止を減少させる

【要旨】目的:迅速対応システム(Rapid response system:RRS)を導入する施設が増えているが, その起動が困難で, また本邦でのエビデンスが希薄である. 修正早期警戒スコア(Modified early warning score:MEWS)は, 患者急変を予知できるツールであり, RRS起動基準として有用ではないかと考えた. 方法:2012年10月, MEWSが高値となり急変する可能性の高いWZ(Warning Zone)に入った患者に対して, 主治医・ICU看護師が迅速に対応する, MEWS-RRSを導入した. 研究1としてMEWSの点数別院内心停止(in-hospit...

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Published in日本臨床救急医学会雑誌 Vol. 20; no. 3; pp. 534 - 538
Main Authors 西島功, 小畑慎也, 小山淳, 土田真史, 友利隆一郎, 猪谷克彦, 池村綾, 宮城和史, 比嘉信喜, 伊波潔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床救急医学会 01.06.2017
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ISSN1345-0581

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Summary:【要旨】目的:迅速対応システム(Rapid response system:RRS)を導入する施設が増えているが, その起動が困難で, また本邦でのエビデンスが希薄である. 修正早期警戒スコア(Modified early warning score:MEWS)は, 患者急変を予知できるツールであり, RRS起動基準として有用ではないかと考えた. 方法:2012年10月, MEWSが高値となり急変する可能性の高いWZ(Warning Zone)に入った患者に対して, 主治医・ICU看護師が迅速に対応する, MEWS-RRSを導入した. 研究1としてMEWSの点数別院内心停止(in-hospital cardiac arrest:IHCA)率を比較, 研究2としてMEWS-RRSの起動件数を評価し, 研究3としてMEWS-RRSはIHCAを減少させるか検討した. 結果:<研究1>MEWSの点数別IHCA率は, 6点0.18%, 7点1.40%, 8点1.75%, 9点以上3.57%で, 6点に比べ7点・8点・9点以上では有意にIHCA率が高かった(p<0.05). <研究2>新入院1,000人当たりのMEWS-RRSの起動件数は, WZをMEWS6点以上とした第1期では99.8件, WZをMEWS7点以上とした第2期では46.6件と有意に減少するも(p<0.01), IHCA率は1.50 vs 2.30と有意差はなかった. <研究3>MEWS-RRS導入前の第0期と, 第1期・第2期において, 新入院1,000人当たりの月別IHCA率を比較すると, 5.21±3.47 vs 1.50±1.07 vs 2.30±1.43とMEWS-RRS導入後有意に低下した(p<0.01). 考察・結論:WZをMEWS7点以上としたMEWS-RRSは, 適正なRRS起動件数が得られ, IHCAの減少に寄与する有用なシステムである.
ISSN:1345-0581