がん化学療法中の排便障害と日常生活への影響

「要旨」【目的】がん化学療法中の排便障害の実態と日常生活上への影響を明らかにする. 【方法】排便障害を有する外来化学療法中のがん患者23名(便秘19名, 下痢4名)を対象に, 自記式質問紙で基礎情報, および半構造化面接法で便の性状や回数, 程度, 出現時期, 生活への影響と対処を収集し, カテゴリー化をして内容を分析した. 【結果】対象者の症状は, CTCAEのGrade 1が18名, Grade 2が3名, Grade 3が1名であった. 対象者の多くが軽度の症状であるにも関わらず, 14名は症状に苦痛や諦めを感じ, うち2名が生活上の困難を抱えていた. 対象者は個々の認識や習慣に基づいて...

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Published in兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所紀要 Vol. 27; pp. 65 - 75
Main Authors 江藤美和子, 吉野葵, 周治規子, 中野宏恵, 永山博美, 福田正道, 内布敦子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所 01.03.2020
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ISSN1881-6592

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Summary:「要旨」【目的】がん化学療法中の排便障害の実態と日常生活上への影響を明らかにする. 【方法】排便障害を有する外来化学療法中のがん患者23名(便秘19名, 下痢4名)を対象に, 自記式質問紙で基礎情報, および半構造化面接法で便の性状や回数, 程度, 出現時期, 生活への影響と対処を収集し, カテゴリー化をして内容を分析した. 【結果】対象者の症状は, CTCAEのGrade 1が18名, Grade 2が3名, Grade 3が1名であった. 対象者の多くが軽度の症状であるにも関わらず, 14名は症状に苦痛や諦めを感じ, うち2名が生活上の困難を抱えていた. 対象者は個々の認識や習慣に基づいて薬剤, 食事, 生活上の工夫で自己にて対処していた. 強い症状の場合でも, 羞恥心を伴うために医療者に伝えずに対処する対象者もいた. 【結論】症状の程度に差はあるが患者は排便障害を体験しており, その対処の多くは自らの経験に基づいたもので多様であったこと, そして, かなり症状が重くても医療者に相談することが少なく, 排便障害による苦痛は羞恥心を伴い, 誰に相談してよいかが分からないという思いを持っていることも明らかになった. 患者のもつセルフケア能力を活かしながら, 重症化する前に排便障害に備えられるよう個々の思いやこれまでの生活習慣にも配慮して関わることが必要である.
ISSN:1881-6592