発育期陸上競技選手における腰椎分離症の特徴
〔要旨〕【緒言】陸上競技選手における腰椎分離症を検討した報告は少ない. 陸上競技には単一動作を反復する競技特性があるため, 同一動作の頻度が高くなり身体の特定部分への応力集中が生じやすい. 本研究の目的は, 陸上競技選手における腰椎分離症の競技種目別の特徴を明らかにすることである. 【方法】腰椎分離症と診断され, 3ヶ月以上経過観察可能であった陸上競技選手15例 (平均年齢15.5歳) を対象とした. CTもしくはMRIを用いて分離症の病期と発生高位を調査項目として, 競技種目別 (短距離・中長距離・障害種目・跳躍種目・投擲種目) に群分けし解析を行った. 【結果】競技種目別の分布は短距離8例...
Saved in:
Published in | 日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 30; no. 1; pp. 55 - 61 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床スポーツ医学会
31.01.2022
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 1346-4159 |
Cover
Summary: | 〔要旨〕【緒言】陸上競技選手における腰椎分離症を検討した報告は少ない. 陸上競技には単一動作を反復する競技特性があるため, 同一動作の頻度が高くなり身体の特定部分への応力集中が生じやすい. 本研究の目的は, 陸上競技選手における腰椎分離症の競技種目別の特徴を明らかにすることである. 【方法】腰椎分離症と診断され, 3ヶ月以上経過観察可能であった陸上競技選手15例 (平均年齢15.5歳) を対象とした. CTもしくはMRIを用いて分離症の病期と発生高位を調査項目として, 競技種目別 (短距離・中長距離・障害種目・跳躍種目・投擲種目) に群分けし解析を行った. 【結果】競技種目別の分布は短距離8例14ヵ所, 中長距離3例5ヶ所, 障害種目2例4ヶ所. 跳躍種目2例3ヶ所であった. 種目別の病期は短距離では分離前期2ヶ所, 進行期4ヶ所, 末期8ヶ所, 中長距離では初期1ヶ所, 進行期1ヶ所, 末期3ヶ所, 障害種目では初期2ヶ所, 進行期2ヶ所, 跳躍種目では初期1ヶ所, 末期2ヶ所を認めた. 種目別の発生高位は短距離ではL4で4ヶ所, L5で10ヶ所, 中長距離ではL5で5ヶ所, 障害種目ではL3で4ヶ所, 跳躍種目ではL4で1ヶ所L5で2ヶ所であった. 【結論】短距離選手に分離症発生が多く, L3分離症は障害種目に発生した, 3名ではあったが腰椎運動の小さい中長距離種目においても腰椎分離症が発生していた. |
---|---|
ISSN: | 1346-4159 |