切除不能胃癌と空置的胃空腸吻合術

幽門側の高度通過障害を伴う切除不能進行胃癌に対しては, 従来Braun吻合を併用する胃空腸吻合術が繁用されているが, 術後摂食量も不充分で, 出血や胃腸症状も多くみられる.われわれは幽門側病変部が空置できる症例に対しては, 胃を離断し, Billroth II法で再建をおこなう空置的胃・空腸吻合術 (gastric exclusion) を施行し, 術後成績を他術式と比較した.最近5年間の切除不能胃癌66例中, 単開腹23例, 胃空腸吻合37例, 本法6例の各術式別食事摂取量・術後愁訴・予後などのいづれにおいても, 本法が良好であり, 手術時間・出血量なども大差がなかった.本法は姑息手術として...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 16; no. 8; pp. 1465 - 1469
Main Authors 戸塚, 守夫, 渋谷, 均, 早坂, 滉, 藤岡, 久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1983
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Summary:幽門側の高度通過障害を伴う切除不能進行胃癌に対しては, 従来Braun吻合を併用する胃空腸吻合術が繁用されているが, 術後摂食量も不充分で, 出血や胃腸症状も多くみられる.われわれは幽門側病変部が空置できる症例に対しては, 胃を離断し, Billroth II法で再建をおこなう空置的胃・空腸吻合術 (gastric exclusion) を施行し, 術後成績を他術式と比較した.最近5年間の切除不能胃癌66例中, 単開腹23例, 胃空腸吻合37例, 本法6例の各術式別食事摂取量・術後愁訴・予後などのいづれにおいても, 本法が良好であり, 手術時間・出血量なども大差がなかった.本法は姑息手術として安全かつ有効な手段と考えられる.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.16.1465