長内転筋損傷後に生じた骨化性筋炎に対して体外衝撃波治療が有効であった成長期野球選手 : 1例報告
〔要旨〕骨化性筋炎は, 外傷などによる筋損傷後に生じる筋内の異所性骨化であり, 発症すると筋の伸張性低下による疼痛や隣接関節の可動域制限が生じる. 今回われわれは, 長内転筋損傷後に生じた骨化性筋炎に対し体外衝撃波治療を行い, 早期競技復帰が可能となった成長期野球選手の1例を経験したので報告する. 症例は16歳男性の高校硬式野球部投手である. 投球練習中に右大腿内側部に痛みが出現, 徐々に疼痛が増悪してきたため受傷から3週後に当院を受診した. 初診時, 大腿近位内側部に硬結を伴う索状のしこりが触知され, 股関節外転で同部位に疼痛が誘発された. 画像検査にて硬結部位に淡い骨化像が認められ, 長内...
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Published in | 日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 29; no. 2; pp. 274 - 278 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床スポーツ医学会
30.04.2021
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ISSN | 1346-4159 |
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Summary: | 〔要旨〕骨化性筋炎は, 外傷などによる筋損傷後に生じる筋内の異所性骨化であり, 発症すると筋の伸張性低下による疼痛や隣接関節の可動域制限が生じる. 今回われわれは, 長内転筋損傷後に生じた骨化性筋炎に対し体外衝撃波治療を行い, 早期競技復帰が可能となった成長期野球選手の1例を経験したので報告する. 症例は16歳男性の高校硬式野球部投手である. 投球練習中に右大腿内側部に痛みが出現, 徐々に疼痛が増悪してきたため受傷から3週後に当院を受診した. 初診時, 大腿近位内側部に硬結を伴う索状のしこりが触知され, 股関節外転で同部位に疼痛が誘発された. 画像検査にて硬結部位に淡い骨化像が認められ, 長内転筋の肉離れ後に生じた骨化性筋炎と診断した. 拡散型体外衝撃波療法を開始した. 1週間に1回の照射を複数回行い, 疼痛と可動域制限は速やかに軽減した. 体外衝撃波療法は, 骨化性筋炎に対して早期競技復帰を可能とする有効な治療法である可能性が示唆された. |
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ISSN: | 1346-4159 |