椎体椎間板炎を合併した感染性腹部大動脈瘤の2治験例

椎体椎間板炎を合併した感染性腹部大動脈瘤を2例経験した. 症例1は, 抗生剤の効果が認められたため, また糖尿病を合併していることから感染症を十分にコントロールし, 1年後にin situ reconstruction を行った. 症例2は, 感染症が活動期であったが椎体椎間板炎による前縦靱帯穿孔により膿瘍が脊髄を圧迫し, 両下肢麻痺が進行性に悪化したため手術となった. 感染巣に人工血管を留置しない目的で Axillo-femoral bypass (A-Fx bypass) を行い, 瘤への血流を遮断した後に瘤内の感染巣の debridément を行い, 瘤壁で感染巣を閉鎖した. 両症例と...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 28; no. 2; pp. 121 - 124
Main Authors 前田, 朋大, 青見, 茂之, 西中, 知博, 国井, 佳文, 津久井, 宏行, 小柳, 仁, 遠山, 悟史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.03.1999
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.28.121

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Summary:椎体椎間板炎を合併した感染性腹部大動脈瘤を2例経験した. 症例1は, 抗生剤の効果が認められたため, また糖尿病を合併していることから感染症を十分にコントロールし, 1年後にin situ reconstruction を行った. 症例2は, 感染症が活動期であったが椎体椎間板炎による前縦靱帯穿孔により膿瘍が脊髄を圧迫し, 両下肢麻痺が進行性に悪化したため手術となった. 感染巣に人工血管を留置しない目的で Axillo-femoral bypass (A-Fx bypass) を行い, 瘤への血流を遮断した後に瘤内の感染巣の debridément を行い, 瘤壁で感染巣を閉鎖した. 両症例とも経過は良好であった. 感染性腹部大動脈瘤の治療においては, 感染症のコントロール状態, 患者の基礎疾患, 年齢, 日常生活動作などを考慮した上で決定すべきと考えられた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.28.121