長期生存した直腸肛門部悪性黒色腫の1例

直腸肛門部悪性黒色腫の長期生存例を報告する. 症例は59歳女性, 下血にて発症, 直腸肛門部に腫瘤を触知, 生検により悪性黒色腫と診断, 腹会陰式直腸切断術施行後10年を経て再発の徴候はみられない. 腫瘍最大径は4cm, 壁深達度は固有筋層, リンパ節転移は認めず, 病理組織学的検査ではamelanotic melanomaであった. 本邦報告例の5年以上生存例は自験例を含め9例であった.腹会陰式直腸切断術施行例の5年生存率は18.7%と低く, 局所切除術では5年生存例の報告はみられなかった. 5年以上生存例と2年以内死亡例を比較検討した結果, 長期生存の条件は, 1: 腫瘍最大径が5cm未満...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 25; no. 7; pp. 2046 - 2049
Main Authors 浅野, 道雄, 加藤, 芳司, 安藤, 久實, 原, 春久, 古川, 昭八郎, 浅井, 秀司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1992
一般社団法人日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.25.2046

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Summary:直腸肛門部悪性黒色腫の長期生存例を報告する. 症例は59歳女性, 下血にて発症, 直腸肛門部に腫瘤を触知, 生検により悪性黒色腫と診断, 腹会陰式直腸切断術施行後10年を経て再発の徴候はみられない. 腫瘍最大径は4cm, 壁深達度は固有筋層, リンパ節転移は認めず, 病理組織学的検査ではamelanotic melanomaであった. 本邦報告例の5年以上生存例は自験例を含め9例であった.腹会陰式直腸切断術施行例の5年生存率は18.7%と低く, 局所切除術では5年生存例の報告はみられなかった. 5年以上生存例と2年以内死亡例を比較検討した結果, 長期生存の条件は, 1: 腫瘍最大径が5cm未満であること, 2: 壁深達度がpm以内であること, 3: リンパ節転移の有無にかかわらず広範なリンパ節郭清を伴う腹会陰式直腸切断術が行われていることと考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.25.2046