脳循環モデルを付加した体外循環教育用シミュレーションシステムの検討

「要旨」 脳分離循環は, 適正灌流量の維持と送血圧の管理に加えて, 術式の進行に応じた適切な回路の切り替えなどが要求されるため, 操作者には, 手術進行に対応して術者と連携できる判断力と技能が要求される. 本研究では, 体外循環教育用シミュレーションシステムECCSIMに, 脳分離体外循環のためのシステムの構築およびその有用性について検討を行った. ECCSIMは, 患者の血行動態などを再現するため仮想患者モデルと人工心肺装置の操作情報を仮想患者モデルに伝達する送血・脱血・ベントの3ポートを有する模擬循環回路により構成されるが, 脳分離体外循環を可能とするために送血側ポートに流量センサをカスケ...

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Published in体外循環技術 Vol. 38; no. 1; pp. 67 - 71
Main Authors 徳嶺朝子, 二宮伸治, 原和信, 岡村直哉, 戸梶めぐみ, 黒崎達也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 01.03.2011
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ISSN0912-2664

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Summary:「要旨」 脳分離循環は, 適正灌流量の維持と送血圧の管理に加えて, 術式の進行に応じた適切な回路の切り替えなどが要求されるため, 操作者には, 手術進行に対応して術者と連携できる判断力と技能が要求される. 本研究では, 体外循環教育用シミュレーションシステムECCSIMに, 脳分離体外循環のためのシステムの構築およびその有用性について検討を行った. ECCSIMは, 患者の血行動態などを再現するため仮想患者モデルと人工心肺装置の操作情報を仮想患者モデルに伝達する送血・脱血・ベントの3ポートを有する模擬循環回路により構成されるが, 脳分離体外循環を可能とするために送血側ポートに流量センサをカスケード接続し, 片側をメインの送血回路, 片方を脳循環用回路とした. また, 仮想患者モデルにおける脳循環を再現するため, 従来のモデルの弓部大動脈抵抗から脳および上肢の循環抵抗を分岐し, 体静脈抵抗にバイパスする数値シミュレーションモデルを考案し, 脳分離体外循環システムを再現した. 本方法により更に複雑な術式や症例に柔軟に対応できるシミュレータ構築の可能性が期待される.
ISSN:0912-2664