炎症性仮性上行大動脈瘤の1手術例

症例は, 74歳の男性で, 食思不振で他院に入院中, 突然の呼吸状態悪化に伴い人工呼吸器管理および右鎖骨下静脈からの中心静脈栄養が開始された. 以後, 発熱が出現, 呼吸状態も改善されないため, 当院に搬送された. CT検査にて, 上行大動脈瘤破裂 (sealed rupture) と診断, 手術を行った. 嚢状動脈瘤が上行大動脈遠位部に認められたが, 周囲との癒着が強固であったため, 超低体温循環停止法下に75×65mmの瘤を切開し, 径30mmの瘤口部をパッチ閉鎖した. 術後は, とくに合併症もなく, 42日目に退院した. 病理組織学的検査にて, 外膜のみで構成された動脈瘤壁には, 著明な...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 29; no. 6; pp. 418 - 421
Main Authors 高橋, 隆一, 木曽, 一誠, 森, 厚夫, 井上, 仁人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.11.2000
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Summary:症例は, 74歳の男性で, 食思不振で他院に入院中, 突然の呼吸状態悪化に伴い人工呼吸器管理および右鎖骨下静脈からの中心静脈栄養が開始された. 以後, 発熱が出現, 呼吸状態も改善されないため, 当院に搬送された. CT検査にて, 上行大動脈瘤破裂 (sealed rupture) と診断, 手術を行った. 嚢状動脈瘤が上行大動脈遠位部に認められたが, 周囲との癒着が強固であったため, 超低体温循環停止法下に75×65mmの瘤を切開し, 径30mmの瘤口部をパッチ閉鎖した. 術後は, とくに合併症もなく, 42日目に退院した. 病理組織学的検査にて, 外膜のみで構成された動脈瘤壁には, 著明な線維化肥厚および好中球, プラズマ細胞, マクロファージの浸潤が認められ, 炎症性仮性大動脈瘤と判断された.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.29.418