MC3T3-E1における血清除去誘導Caspase活性の分子機構

【目的】最近の研究にて, 骨芽細胞が骨細胞に分化する過程で血液供給が断たれアポトーシス細胞死を起こすということが組織化学的に明らかにされている. 今回, 私達はマウス骨芽細胞様細胞MC3T3-E1を用いて, アポトーシスに共通するシグナル伝達経路であるCaspaseの活性化について, 血清除去の条件下で検討し, 同時にMAPキナーゼの特異的酵素阻害剤(PD98059ならびにSB203580)を用いた薬理学的検討を行った. 【方法】MC3T3-E1を常法に従い培養し, 実験には血清を除去した細胞を用いた. 蛍光基質を用いてCaspase-1,3,8,9の活性を測定した. 【結果】1:血清除去によ...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 43; no. 5; p. 617
Main Authors 尾関伸明, 茂木眞希雄, 中付洋, 戸苅彰史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.08.2001
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:【目的】最近の研究にて, 骨芽細胞が骨細胞に分化する過程で血液供給が断たれアポトーシス細胞死を起こすということが組織化学的に明らかにされている. 今回, 私達はマウス骨芽細胞様細胞MC3T3-E1を用いて, アポトーシスに共通するシグナル伝達経路であるCaspaseの活性化について, 血清除去の条件下で検討し, 同時にMAPキナーゼの特異的酵素阻害剤(PD98059ならびにSB203580)を用いた薬理学的検討を行った. 【方法】MC3T3-E1を常法に従い培養し, 実験には血清を除去した細胞を用いた. 蛍光基質を用いてCaspase-1,3,8,9の活性を測定した. 【結果】1:血清除去によるCaspase-3,8,9の活性化は90分をピークに一過性の上昇を示した. Caspase-1の活性化は認められなかった. 2:血清除去によるCaspase-3, 8, 9の活性化はp38MAPキナーゼ特異的酵素阻害剤SB203580で濃度依存的に抑制された. 【結論】血清除去によりCaspase-3,8,9は一過性の活性上昇を示し, これはp38MAPキナーゼの活性化を介する.
ISSN:0385-0137