女子長距離走選手の月経と骨代謝および骨密度の関係

〔要旨〕 本研究は, 疲労骨折の罹患率が高い大学女子長距離走選手を対象に, 月経状況や骨代謝や骨密度に関する測定を行い, 発症因子の検討および疲労骨折予防のための基礎的データを得ることを目的とした. 疲労骨折は, 思春期以降に発症しているケースが多かった. 初経初来時期は遅延しており, 思春期には無月経や月経周期異常であった選手が多かった. 骨代謝は, 月経異常群で骨吸収マーカーが高く, 高回転型骨代謝の傾向であった. 「はじめに」女子長距離走選手における疲労骨折発症の背景には, Female Athlete Triad(以下, FAT)が存在し, 骨粗鬆症に至ることが発症因子の一つとなる....

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 25; no. 3; pp. 450 - 453
Main Authors 前田昌隆, 中畑敏秀, 東郷泰久, 小倉雅, 藤井康成, 小宮節郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床スポーツ医学会 31.08.2017
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ISSN1346-4159

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Summary:〔要旨〕 本研究は, 疲労骨折の罹患率が高い大学女子長距離走選手を対象に, 月経状況や骨代謝や骨密度に関する測定を行い, 発症因子の検討および疲労骨折予防のための基礎的データを得ることを目的とした. 疲労骨折は, 思春期以降に発症しているケースが多かった. 初経初来時期は遅延しており, 思春期には無月経や月経周期異常であった選手が多かった. 骨代謝は, 月経異常群で骨吸収マーカーが高く, 高回転型骨代謝の傾向であった. 「はじめに」女子長距離走選手における疲労骨折発症の背景には, Female Athlete Triad(以下, FAT)が存在し, 骨粗鬆症に至ることが発症因子の一つとなる. 疲労骨折の発症は, 思春期である16歳がピークといわれる. しかし, 女性の骨量は思春期に増加することから, 思春期に骨量の増加が不十分な選手における思春期後の疲労骨折発症状況がどうなのかは興味深いところである.
ISSN:1346-4159