救命救急センターにおける若年自殺未遂者の特徴

若年者の自殺企図の特徴を明らかにすることを目的に, 2010年3月1日~2013年12月31日の3年10カ月間において, 日本医科大学付属病院高度救命救急センターに入院となった自殺未遂症例について, 診療録等から, 自殺企図手段, 精神科通院状況, 自殺企図の誘因, DSM-IV-TRに基づく精神科診断等を調査し, 35歳未満の若年群と35歳以上の非若年群とに分けて両群間で統計的検討を行った. 対象症例291例中, 若年群は110例, 非若年群は181例であった. 若年群は非若年群に対して, 精神科に通院している者, 自傷歴のある者, 過量服薬の割合が有意に高かった. 精神科診断に関しては,...

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Published in児童青年精神医学とその近接領域 Vol. 56; no. 2; pp. 179 - 189
Main Authors 成重竜一郎, 川島義高, 澤谷篤, 齊藤卓弥, 大久保善朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本児童青年精神医学会 01.04.2015
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Summary:若年者の自殺企図の特徴を明らかにすることを目的に, 2010年3月1日~2013年12月31日の3年10カ月間において, 日本医科大学付属病院高度救命救急センターに入院となった自殺未遂症例について, 診療録等から, 自殺企図手段, 精神科通院状況, 自殺企図の誘因, DSM-IV-TRに基づく精神科診断等を調査し, 35歳未満の若年群と35歳以上の非若年群とに分けて両群間で統計的検討を行った. 対象症例291例中, 若年群は110例, 非若年群は181例であった. 若年群は非若年群に対して, 精神科に通院している者, 自傷歴のある者, 過量服薬の割合が有意に高かった. 精神科診断に関しては, 若年群では「統合失調症および他の精神病性障害」と診断された者が最も多かったことに加え, 若年群は非若年群に対して「大うつ病性障害, 双極性障害」と診断された者の割合が有意に低く, 「パーソナリティ障害」と診断された者の割合が有意に高かった. 自殺企図の誘因に関しては, 若年群では非若年群に対して「家庭問題」, 「経済・生活問題」, を有していた者の割合が有意に低く, 「勤務問題」, 「男女問題」, 「学校問題」を有していた者の割合が有意に高かった. 以上の結果から, 若年の自殺未遂者については他の年齢層とは異なった心理社会的特徴を有していることが示され, 若年者の特徴に合わせた自殺対策の必要性が示唆された.
ISSN:0289-0968