膵・胆管合流異常に総胆管嚢腫と重複総肝管を伴った1例

膵・胆管合流異常に,稀な肝外胆管形態異常を伴った1例を経験した.症例は53歳,男性.閉塞性黄疸の精査目的にて入院.腹部CT検査にて総胆管嚢腫を認め,内視鏡的逆行性膵胆管造影にて,新古味分類IIIc 2型の膵・胆管合流異常を確認した.膵側総胆管の狭窄が強く,経皮経肝胆管ドレナージで減黄し,高アミラーゼ胆汁を採取するも細胞診では陰性であった.膵・胆管合流異常を伴う総胆管嚢腫の診断にて手術を施行した.術中所見では総胆管嚢腫のほかに,胆嚢管合流部より肝側に約3cm長の重複総肝管の存在を認めた.病理組織学的には胆道系に悪性所見は認められなかった.先天性胆道拡張症に膵・胆管合流異常が高率に合併することは広...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 3; pp. 772 - 776
Main Authors 清水, 良一, 和田守, 憲二, 林, 秀知, 吉本, 裕紀
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.03.2001
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.62.772

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Summary:膵・胆管合流異常に,稀な肝外胆管形態異常を伴った1例を経験した.症例は53歳,男性.閉塞性黄疸の精査目的にて入院.腹部CT検査にて総胆管嚢腫を認め,内視鏡的逆行性膵胆管造影にて,新古味分類IIIc 2型の膵・胆管合流異常を確認した.膵側総胆管の狭窄が強く,経皮経肝胆管ドレナージで減黄し,高アミラーゼ胆汁を採取するも細胞診では陰性であった.膵・胆管合流異常を伴う総胆管嚢腫の診断にて手術を施行した.術中所見では総胆管嚢腫のほかに,胆嚢管合流部より肝側に約3cm長の重複総肝管の存在を認めた.病理組織学的には胆道系に悪性所見は認められなかった.先天性胆道拡張症に膵・胆管合流異常が高率に合併することは広く知られているが,本症例はさらに重複総肝管を合併しており発生学的に示唆に富む貴重な症例であった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.772