山形県における高齢者の内因性再燃結核症例の季節性
「要旨」:〔目的〕国内で多数を占める高齢の内因性再燃結核患者について, 発病者が増加する時期や結核診断上注意を要する時期を明らかにすること. 〔方法〕2009~2015年の山形県における60歳以上の結核患者のうち, 結核菌分子疫学により最近の外来性感染による発病の可能性が低いと判断された296人を内因性再燃高齢結核症例として選定. これを発見方法別に有症状医療機関受診157人, 救急30人, 定期通院26人, 健康診断22人, 高齢者施設での結核非特異的体調悪化14人, およびその他47人に分類し, それぞれの季節性を検討した. 〔結果〕有症状医療機関受診では, 発病者は冬 (12~2月) が...
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Published in | 結核 Vol. 93; no. 2; pp. 93 - 100 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本結核病学会
15.02.2018
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Summary: | 「要旨」:〔目的〕国内で多数を占める高齢の内因性再燃結核患者について, 発病者が増加する時期や結核診断上注意を要する時期を明らかにすること. 〔方法〕2009~2015年の山形県における60歳以上の結核患者のうち, 結核菌分子疫学により最近の外来性感染による発病の可能性が低いと判断された296人を内因性再燃高齢結核症例として選定. これを発見方法別に有症状医療機関受診157人, 救急30人, 定期通院26人, 健康診断22人, 高齢者施設での結核非特異的体調悪化14人, およびその他47人に分類し, それぞれの季節性を検討した. 〔結果〕有症状医療機関受診では, 発病者は冬 (12~2月) が夏 (6~8月) よりも, 初診患者は春 (3~5月) が秋 (9~11月) よりも有意に多かった. 定期通院発見例の診断月は, 4~6月が1~3月よりも有意に多かった. 〔考察〕山形県の内因性再燃高齢結核症例の発見方法の一部で, 患者発生に季節性があることが示唆された. わが国で結核の早期発見を促す啓発活動を推進する際には, 有症状医療機関受診における冬から春の時期のように, 発病者や初診患者が多いと想定される時期に重点的に展開するのが効果的と考えられた. |
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ISSN: | 0022-9776 |