口蓋裂に伴う骨格性下顎前突に対して上顎骨前方部骨延長術 (MASDO : Maxillary Anterior Segmental Distraction Osteogenesis) を施行した症例

「緒言」口唇裂・口蓋裂は日本人の400~600人に1人の割合で生じる頭蓋顎顔面形態の先天異常であり, 遺伝的要因と環境的要因の組み合わせにより引き起こされる多因子性疾患であることが知られている. 外科的アプローチだけではなく矯正的アプローチも必要である. 口唇裂・口蓋裂の患者では口唇形成術や口蓋形成術に伴う軟組織の瘢痕化が原因で上顎骨の劣成長を生じることが多い. そのため相対的な骨格性下顎前突を呈することが多く, II期治療にて外科的矯正治療の適応となった場合には, 上顎骨を前方移動することが望ましいが, Le Fort I型骨切り術による上顎骨全体の前方移動術は, 鼻咽腔閉鎖機能(VPF:...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 33; no. 1; pp. 30 - 40
Main Authors 横山美佳, 伊藤慎将, 吉田侑加, 岡綾香, 相川友直, 田中晋, 山城隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎変形症学会 15.04.2023
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ISSN0916-7048

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Summary:「緒言」口唇裂・口蓋裂は日本人の400~600人に1人の割合で生じる頭蓋顎顔面形態の先天異常であり, 遺伝的要因と環境的要因の組み合わせにより引き起こされる多因子性疾患であることが知られている. 外科的アプローチだけではなく矯正的アプローチも必要である. 口唇裂・口蓋裂の患者では口唇形成術や口蓋形成術に伴う軟組織の瘢痕化が原因で上顎骨の劣成長を生じることが多い. そのため相対的な骨格性下顎前突を呈することが多く, II期治療にて外科的矯正治療の適応となった場合には, 上顎骨を前方移動することが望ましいが, Le Fort I型骨切り術による上顎骨全体の前方移動術は, 鼻咽腔閉鎖機能(VPF: Velopharyngeal Function, 以下VPF)に影響を及ぼすことが報告されており, 鼻咽腔閉鎖機能を温存するにはその移動量に限界がある.
ISSN:0916-7048