アキレス腱再断裂の検討

〔要旨〕 本研究ではアキレス腱断裂に対して当院で手術加療を行った症例のうち, 再断裂を起こした症例を対象として調査し, そのrisk factor(年齢, 性別, BMI, 飲酒, 喫煙, スポーツレベル, 糖尿病や高脂血症の既往)や再断裂の時期, 再断裂時の状況を明らかにすることを目的とした. アキレス腱の手術加療を施行した1201例の中から, 保存療法後の再断裂, 当院や他院でアキレス腱の手術歴, 術後感染例などを除外し, 最終的に1105例を対象とした. 再断裂率は縫合術後が2.1%, 形成術後が3.8%であった. 再断裂時期は縫合術, 形成術とも術後2~3ヶ月が最も多く, 装具を外した...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 29; no. 3; pp. 388 - 391
Main Authors 七條正典, 岩噌弘志, 深井厚, 眞田高起, 本田英三郎, 村上亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床スポーツ医学会 31.08.2021
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ISSN1346-4159

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Summary:〔要旨〕 本研究ではアキレス腱断裂に対して当院で手術加療を行った症例のうち, 再断裂を起こした症例を対象として調査し, そのrisk factor(年齢, 性別, BMI, 飲酒, 喫煙, スポーツレベル, 糖尿病や高脂血症の既往)や再断裂の時期, 再断裂時の状況を明らかにすることを目的とした. アキレス腱の手術加療を施行した1201例の中から, 保存療法後の再断裂, 当院や他院でアキレス腱の手術歴, 術後感染例などを除外し, 最終的に1105例を対象とした. 再断裂率は縫合術後が2.1%, 形成術後が3.8%であった. 再断裂時期は縫合術, 形成術とも術後2~3ヶ月が最も多く, 装具を外した時期に再断裂が多いという結果となった. また再断裂時の状況としては, 段差や階段で躓いた際の受傷が最も多かった. 再断裂のrisk factorはいずれの項目も有意差はなかった. 従来報告されてきたアキレス腱断裂のrisk factorは本研究において再断裂のrisk factorとはならなかった. 術後再断裂となった時期は術後2~3ヶ月前後が多く, 装具を外した時期に再断裂のリスクが高いと考えられた.
ISSN:1346-4159