認知症せん妄サポートチームによる電子カルテのベンダー変更時の不眠時・不穏時の指示見直しとその影響について

認知症せん妄サポートチーム(以下, DDST)では, 定期的に院内ラウンドを行なっている. 介入時に不眠時・不穏時に対する指示が入っていない, せん妄患者や高齢者にベンゾジアゼピン(以下, BZD)受容体作動薬が指示されているのを散見した. その一因が, 不眠時・不穏時に対する指示の院内指針が定まっていないことと考え, 電子カルテのベンダー変更を契機に, 指示定着や薬剤適正使用を目的として推奨薬剤を設定した. 入院時の不眠時・不穏時に対する指示割合(以下, 指示率), 指示された薬剤を調査し, 前後比較した. (設定前: 2019年1月~3月, 設定後: 2020年1月~3月)不眠時の指示率は...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 73; no. 4; pp. 347 - 355
Main Authors 市江敏和, 久保田乃吏子, 本田知世, 横出恵実, 南川真由, 大嵜美香, 佐々木翼, 廣海美智代, 三浦毅, 野々垣禅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農村医学会 30.11.2024
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ISSN0468-2513

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Summary:認知症せん妄サポートチーム(以下, DDST)では, 定期的に院内ラウンドを行なっている. 介入時に不眠時・不穏時に対する指示が入っていない, せん妄患者や高齢者にベンゾジアゼピン(以下, BZD)受容体作動薬が指示されているのを散見した. その一因が, 不眠時・不穏時に対する指示の院内指針が定まっていないことと考え, 電子カルテのベンダー変更を契機に, 指示定着や薬剤適正使用を目的として推奨薬剤を設定した. 入院時の不眠時・不穏時に対する指示割合(以下, 指示率), 指示された薬剤を調査し, 前後比較した. (設定前: 2019年1月~3月, 設定後: 2020年1月~3月)不眠時の指示率は設定前が88.6%(1,779/2,007), 設定後が91.9%(1,902/2,069)で有意に上昇していた. BZD受容体作動薬の指示率は, 設定前が47.7%(848/1,779), 設定後が41.6%(792/1,902)で有意に低下していた. 不穏時の指示率は, 設定前が71.2%(1,429/2,007), 設定後が85.6%(1,771/2,069)で有意に上昇していた. 推奨薬剤設定が入院時の不眠時・不穏時の指示率上昇, BZD受容体作動薬の指示率低下にそれぞれ影響した. 電子カルテのベンダー変更を契機として, 不眠時, 不穏時の推奨薬剤を設定することは, 指示の定着, 薬剤適正使用に有用な手段の1つとなることが明らかとなった.
ISSN:0468-2513