脊髄小脳変性症

「要旨」脊髄小脳変性症 (SCD) は小脳性運動失調を主症状とする進行性神経変性疾患で, 1/3は遺伝性, 2/3は非遺伝性である. 遺伝性のうちの多くは常染色体優性遺伝性であり, 非遺伝性の多くは多系統萎縮症 (MSA) に該当する. この他に二次性運動失調症もあるため, 鑑別が必要である. SCDは病型によって運動失調症状に加えてさまざまな症状がみられる. MSAでは起立性低血圧などの自律神経障害が目立つほか, パーキンソン症状も合併し得る. SCDの診断に脳MRIなど画像診断は有用だが, 診断確定のために遺伝学的検査や除外診断を要する. 現時点でSCDの根治療法はなく, 対症療法, リハ...

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Published inディサースリア臨床研究 Vol. 9; no. 1; pp. 83 - 90
Main Authors 松島理明, 矢部一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ディサースリア臨床研究会 10.12.2019
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ISSN2186-7186

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Summary:「要旨」脊髄小脳変性症 (SCD) は小脳性運動失調を主症状とする進行性神経変性疾患で, 1/3は遺伝性, 2/3は非遺伝性である. 遺伝性のうちの多くは常染色体優性遺伝性であり, 非遺伝性の多くは多系統萎縮症 (MSA) に該当する. この他に二次性運動失調症もあるため, 鑑別が必要である. SCDは病型によって運動失調症状に加えてさまざまな症状がみられる. MSAでは起立性低血圧などの自律神経障害が目立つほか, パーキンソン症状も合併し得る. SCDの診断に脳MRIなど画像診断は有用だが, 診断確定のために遺伝学的検査や除外診断を要する. 現時点でSCDの根治療法はなく, 対症療法, リハビリテーションでの対応となる. 将来的には遺伝子治療などの新たな治療法が期待される.
ISSN:2186-7186